前回に引き続き、御頭祭(おんとうさい)の神事の様子をお伝えします。
午後2時、本宮からの神輿の行列が前宮に到着しました。
前回にも触れましたが、御霊代を乗せた神輿は大祝(おおほうり)の代役となるため、十間廊(じっけんろう)に到着した神輿はそのまま上段の間に運び込まれ鎮座します。
諏訪大社の神職や大総代、氏子などの皆さんも十間廊に着座し、神事が始まります。
神事では野菜や餅、魚などの神饌(しんせん、お供え物のこと)の献饌から始まり、最後には御頭祭を象徴する鹿の頭(はく製)が2つ並べられます。
(神饌が並んだ祭壇)
神饌は今でこそ簡略化されていますが、狩猟の神とされる諏訪大明神は狩猟を好むことから、かつての御頭祭では鹿の頭が75頭分供えられていました。
また、その当時の神饌の中には必ず耳が裂けた鹿が1頭は混じっていたそうです。
耳が裂けた鹿は狩猟を好む神の矛(ほこ)に掛かった鹿であると言われ、諏訪大社の七不思議のひとつ、「高野の耳裂け鹿」と呼ばれています。
並べられていた鹿の頭(写真右端の鹿)の耳も先端が2つに裂けており、その話は忠実に再現されていました。
そして鹿の頭と並んで、鹿肉缶詰もお供えされていました。
献饌が終わると、簫(しょう)や篳篥(ひちりき)が奏でられ、祝詞奏上・玉串奉奠(ほうてん)などの神事が粛々と進められます。
この後に撤饌(神饌を片付けること)され、神輿は再び行列とともに本宮へ戻り、御霊代は幣殿(へいでん・神饌などを供える場所)の奥に納められて御頭祭が終わりました。
(神輿は再び本宮へ)
御頭祭の神事の報告は以上です。
普段はこのような神事に関わることはほとんどないのですが、今回の見学ではその神事のひとつひとつの意味や、狩猟との繋がりについても楽しみながら知ることが出来、神事を十分堪能することが出来ました。
~ 最後に ~
今年の4月は日ごとに寒暖の差が激しく、御頭祭が執り行われた当日も桜がほころび始めているにもかかわらず、小雪が舞うような肌寒い一日でした。
そんな中、神輿行列を沿道から見守っていた地元の方から面白い話をお聞きしました。
「御頭祭当日の天気が悪いときは、八十八夜に当たる御柱の里曳きは好天に恵まれる言い伝えが昔からあるんだよ。」というお話です。
5月2日から御柱祭の後半戦、上社の里曳き(さとびき)が始まりますが、当日は好天に恵まれるはず!?なので、是非、諏訪へお越しいただき、御柱祭をお楽しみください。
●参考文献等
・戦国時代の諏訪信仰 笹本正治
・諏訪神社謎の古代史 清川理一郎
・諏訪大社と諏訪神社 http://genjin.cool.ne.jp/index.htm
・長野県神社建築おみやさんcom http://www.omiyasan.com/
・信濃國一之宮 諏訪大社 公式サイト http://suwataisha.or.jp/
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