2009.11.26 [ ジビエいろいろ ]
長野県産鹿肉の栄養成分分析結果です
県内で捕獲されたニホンジカの栄養成分
[目的]
ニホンジカの捕獲されたものの一部は、ジビエと呼ばれる食肉として利用されていますが、そのほとんどが焼却や埋める等廃棄処分されています。そこで食肉への利用増加を図るとともに、県では鹿肉用途開発研究会を立ち上げ、鹿肉をペットフードに利用することを検討しました。研究会では、鹿肉の品質検査を一つの目的としており、今回、一般成分、無機成分、脂肪酸組成および全アミノ酸組成について分析を行い、牛肉や豚肉など他の畜肉と比較することにより、鹿肉の成分の特性を調べました。また、併せて捕獲地域や捕獲時期による成分の差異についても検討しました。
[結果]
(1) 鹿肉の成分を他の畜肉と比較すると、タンパク質が多く、脂質が少ないことがわかりました。
また、カルシウムや鉄などの無機成分が多く含まれていました。
(2) 鹿肉と他の畜肉の脂肪酸組成を比較すると、鹿肉の方が飽和脂肪酸の割合が高いことがわかりました。全アミノ酸組成については、あまり差がみられませんでした。
(3) 一般成分および脂肪酸組成において地域間や捕獲時期での差は認められませんでした。
[方法]
下伊那、上伊那、諏訪、佐久の県内4地域で、平成20年度の3期間(9~10月、12~1月、2~3月)にそれぞれ捕獲されたニホンジカ2頭ずつ(飯田地区2~3月のみ1頭)、計23頭の前脚上部について分析を行いました。
一般成分は全23検体について分析しましたが、無機成分(Na、K、Ca、Mg、Fe、Zn)は1検体、脂肪酸組成は12検体について分析しました。全アミノ酸組成については、19年度に捕獲されたニホンジカのもも肉1検体について分析しました。なお、各項目の分析方法は、次のとおりでした。
・一般成分
水分 凍結乾燥法
タンパク質 ケルダール法(タンパク質換算係数6.25)
脂質 ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法
灰分 550℃直接灰化法
・無機成分 灰化後、原子吸光光度法
・脂肪酸組成
ヘキサン抽出成分を水酸化ナトリウム溶液により加水分解し、メチルエステル化した後、ガスクロマトグラフにより分析
・全アミノ酸組成
20%塩酸により110℃で加熱加水分解後、ニンヒドリン発色によるアミノ酸分析計により分析
■長野県工業技術総合センター 食品技術部門
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