純子さんは営業開始後もパンを焼く作業を続けているため、純子さんのお母さんとおばさんが一緒に手伝いながら、お客様の対応に当たります。
「お母さん、これをお願い。」「これはいくらなの。」
店内が込み合ってくると、親子同士の会話がバックヤードと店舗間で頻繁にやり取りされ、お客様を待たせないように純子さんたちは懸命に対応します。
そんな慌ただしい時間は昼過ぎになる頃に一段落し、純子さんの体は疲労の極みに達します。
というのも、営業日に販売するパンは前日の朝から1人で仕込みを始め、パン生地を全て作り終える時刻はその日の午後8時頃に。3時間ほどの仮眠後、営業日の午前0時頃から午前11時の販売開始まで、ひたすらパンを焼いているからです。
一部、作り置きするなど調理過程を合理化すれば、ここまで体を酷使する必要もありませんが、「てまひま」の名にかけて、妥協を許しません。
パン作り一筋に生きてきた女性のように映りますが、実際にパン作りを学び始めた時期は30歳の頃でした。
県外の短大で栄養士の資格を取った後、地元に戻って食品メーカー等で働いていましたが、小学生の頃から自給自足の生活に憧れ、自作の酵母でパンを焼きたいと考えてパン教室に通いだし、並行してカフェの従業員としてパンを焼く仕事を始め、少しずつ技術を磨いていきました。
後に、厨房施設を借りて自由にパンを焼き、様々なイベント等に出店して対面販売するようになり、自分の店を持つ夢が大きく膨らんでいきました。
実は、純子さんにはカフェの仕事から離れ、数か月、パンを作らない時期がありました。
実家からブルーベリーをもらい、久しぶりに酵母を起こしてパンを焼いた時、3、4日間、食べずに忘れていたことがありました。てっきり「パサパサ」のパンになるだろうと思っていたら、驚いたことに「しっとり」と柔らかいパンに仕上がっていたといいます。
しかも、2、3口食べた時に「爽やかな風」を感じて元気になったとも。
以降、事あるごとに友人・知人に自作の天然酵母で作ったパンを焼いてプレゼントするようになり、食べた人からは「元気になった」と喜ばれるようになり、「食べるお客様が元気に、幸せになってほしい」と願う現在の思いにつながっています。
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