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大切な仲間とつくる、ふるさとのワイン 「坂城葡萄酒醸造株式会社」(いいね!インタビュー⑭)

2015年、千曲川流域の8市町村からなる「千曲川ワインバレー東地区」が、国のワイン特区に認定されました。
現在、この地域に、たくさんのワイナリーやヴィンヤード(ブドウを生産する畑・農場)が誕生しています。
坂城葡萄酒醸造株式会社の代表である成澤 篤人(なるさわ あつと)さんは、今年7月にワイナリーレストラン「Vino della Gatta SAKAKI(ヴィーノ デッラ ガッタ サカキ)」をオープンしました。
愛するワインを自分達の手で造ることにチャレンジしている成澤さんに、オープンしたレストランのお話や、起業に至るまでのお話をたっぷり聞いてきました!


代表の成澤 篤人さん

-はじめに、この場所にワイナリーを開設することになった経緯について教えてください。

私は以前から長野市で飲食店を経営していましたが、いつか地元である坂城町でワインを造りたいという思いがありました。
2011年に、同じくワイン好きの友人たちと、将来を見据えて実験的にワイン用ブドウを植えたところから、坂城町にワイナリーを作る計画がスタートしました。色々な方の御協力があり、初めて委託醸造でワインを造ったのが2015年です。
自社醸造のワインは早ければ今年の年末ごろ完成する予定ですが、ワイナリーで造ったワインを料理と共に楽しんでいただくワイナリーレストランとして、この「Vino della Gatta SAKAKI」をオープンしました

ワイナリーに併設されたレストランです。

-お店の名前の意味を、教えていただけますか?

イタリア語で、Vinoはワイン、Gattaは猫を意味します。直訳すると、「猫のワイン」ですね。
私はもちろん、家族やスタッフにも猫好きが多いので、これまでに出店したお店にも、全て猫にちなんだ名前を付けています。

-お店を建てる際に、こだわった部分を教えてください。

建物は、ワイナリーというよりも日本酒の酒蔵のような、日本の伝統的な技術を取り入れた建物にしてほしいというリクエストをしました。
さらに、ぜひ見ていただきたいところが3つあります。
1つは、玄関の壁に、坂城町出身の画家である小松 美羽(こまつ みわ)さんが描いてくださった猫の絵です。かなり大きい絵なのですが、美羽さんはこれを1日で描き上げられました。間近で見ていて、本当にすごい才能だなと驚きました。
2つ目が、坂城町の刀匠、宮入小左衛門行平(みやいりこざえもんゆきひら)さんに作っていただいた店の看板や玄関のドアノブです。日本刀と同じ材料・工法で作ってくださいました。時間の経過で味が出てくるので、大切にしていきたいです。
最後の1つが、店内に展示させていただいている短刀です。これは、俳優の高倉 健さんが紫綬褒章を受章された際に、宮入さんが記念に製作されたものです。ものすごく貴重な一品ですが、ご厚意で置かせていただいています。

壁一面に猫を描いた、小松美羽さんの作品。すごい迫力です。

-これを目当てに来店する価値があるほど、貴重な品の数々がお店に並んでいますね。

本当にそう思います。美味しい料理やワインに満足していただくことに加えて、坂城町の伝統や文化にも触れていただける場所にしたいと思い、この建物を作りました

健さんの短刀。ぜひ、実物をご覧になってください。

-それでは次に、成澤さんがここに至るまでの経歴について、教えてください。

私は高校を卒業後、地元である坂城町の製造業の会社に就職しました。でも、ふとした時に、生まれてからずっとこの地域で暮らしていた自分が、このままずっと代わり映えのしない人生を送っていくことに退屈や不安を感じるようになりました。ちょうどその頃に姉が東京で働いていたので、会社を辞めて、姉のところに転がり込みました。具体的な目標があった訳ではありませんが、東京に行ってみれば何か面白いことがあるかなと(笑)。

-すごい決断力です。その後、どのようにしてこのお仕事に出会うのでしょうか?

ある日、東京で仲良くなった先輩にバーへ連れて行ってもらったんです。おしゃれなバーに行くこと自体が初めての経験だったのですが、ベストを着てカウンターの中でシェイカーを振るバーテンダーの姿が、すごく格好よくて。「俺がやりたかったのはこれだ!」と感じました。
その先輩を通して、スタッフを募集しているバーを探してもらい、アルバイトから始めました。だから、もしあの時先輩と一緒にバーへ行っていなければ、違う仕事をして、違う人生を歩んでいたかもしれませんね。

-そんなきっかけがあったのですね!ある意味、運命的な出会いですね。

約3年間アルバイトを続けた後、実家の都合で地元に帰ってきました。東京時代のようにバーで働きたい気持ちはありましたが、当時は長野市にもお店が少なかったので、トラックの運転手やワイン販売の営業の仕事などをしていました。
そんな頃、上田市内の飲食店が、新たにオープンする系列店のバーテンダーを募集しているとご紹介をいただきました。最初はバーテンダーとして入ったのですが、頑張りを評価していただき、佐久市や長野市、松本市での系列店の立ち上げにも携わらせていただきました。

-その後、いよいよ成澤さんご自身のお店を、ということになるのでしょうか。

はい。私の妹が、偶然にもイタリアンの料理人と結婚したんです。親戚で集まって飲んでいるときに、なんと彼の方から「お義兄さん、お店やりましょう!」と声をかけてくれました。多分、酔っ払っていたのでしょうね(笑)
オステリア・ガット」を長野市内にオープンした後、「ラ・ガッタ」、「粉門屋仔猫」と順番に店舗を立ち上げてきました。「粉門屋仔猫」も、「ラ・ガッタ」のシェフの奥さんがパン作りのスキルを持っていたから実現したお店です。
お店を作ることが先にあるのではなく、「スタッフや知り合いに、こんな人がいるから、そのスキルを活かすための場所を作ってみよう」という、人ありきの方針は最初から一貫していますね。

喧騒から離れた空間で、特別な時間を過ごせます。

-他の飲食店でお店の立ち上げに関わった経験が、ご自身でお店を経営する立場になって活きているのではないですか?

そうですね。資金使途などについて会社の制約がある中で店舗を作り、経営することを何度も経験したので、自分の会社を立ち上げる際はある程度自由が利く分、すごく楽でしたね。あとは、ワイナリーでは重い荷物を運ぶために、フォークリフトを使うんです。ここで、トラック運転手時代にフォークリフトをガンガン運転していた経験が役立ちました。まさか自分でも、あの頃の仕事がワイン造りに役立つとは(笑)。でもそんな風にして、知らず知らずのうちに過去の経験が現在の自分の力になっていることはよくあるように思います。

-過去の様々な経験が、現在に繋がっているのですね。では、成澤さんにとって、ワインの魅力はどんなところでしょうか?

ワインが造られた土地ならではの味わいが出るところです。これが他のお酒と異なる点であり、ワインの最大の魅力だと思います。この土地で造ったワインと同じものは、他の場所では造れません美味しいか不味いか、商売になるかどうかという以前に、私は生まれ育った坂城町でしか造れないワインを造りたかったので、ここを選びました

ヴィンテージ 2017

-ワインを造る工程で、最も難しい部分を選ぶとしたら、どこでしょうか?

天候や虫獣害など、人間の力が及ばない自然を相手にしなければならない畑作業の部分でしょうか。大変な工程ではあるのですが、「良いワインは良いブドウから」と言われるように、まずは良い収穫ができるよう畑での作業を大切にしています。

-長野県産のワインが世界で勝負するために、今後必要な取り組みや、越えなければならない壁は、何でしょうか?

品質だけ見れば、日本のワインは世界に近づいています。ただし、人件費が高いことや土地が狭く大規模生産が難しいこと、栽培や醸造機器を輸入に頼っていることなどの影響で、日本でのワイン生産は大きなコストがかかり、値段が高くなってしまう傾向にあります。この価格の問題が、世界で勝負するために越えるべき壁だと思います。
日本では「ワインは分からないから・・・」と敷居を高く感じ、飲まれない方がまだまだ多いように感じます。私たちのワインも、まずは地元の方々に飲んでいただき、文化として根付かせていくことが大切だと考えています。イベントなどで裾野を広げて、長野県(日本)産ワインを飲んでいただける場を積極的に作っていきたいです。

-次に、成澤さんがお仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。

やっぱり、仲間ですかね。美味しいワインをみんなで飲める日が、1年のうち何日かあれば、それで幸せだと感じます。先日も、この店の完成記念パーティーを開いたのですが、スタッフとその家族がたくさん集まってくれて、とても幸せな時間になりました。
私の個人的な目標として、働くスタッフに幸せを感じてもらうことで、そのスタッフの家族まで幸せにできたらいいなと思っています。これからも、会社にとって大切な人が大切に思う人まで幸せにできる会社を目指していきたいです。

-とても素敵です。では最後に、今後ビジネスを起こす方にアドバイスを頂けますか?

私の経験から言わせていただくと、自分がやりたいことは、できるだけ口に出すのがいいと思います。一緒に働く仲間や、仕事のチャンスを見つけるためには、自分から発信していくことが大切です。
あとは、「石橋を叩いて、危なければ渡らない」ことでしょうか。大風呂敷を広げたところで、行動や結果が伴っていなければ、口だけだと思われて信用が落ちてしまいます。ですから、会社の理念や自分の信念に問いかけて、本当にやるべきこと以外に手を出さないという決断は、必要だと思います

-今日はありがとうございました!

インタビューの最後に起業者へのアドバイスをお聞きしたとき、
「周りからはイケイケの経営者だと思われることが多いんですが、本当はすごく臆病で、慎重派なんです」と笑顔を見せた成澤さん。
その誠実な人柄ゆえに、周りにたくさんの仲間が集まり、会社とスタッフがお互いを大切にしあう関係を築いているのでしょう。
成澤さんのさらなるご活躍に期待しながら、今年の冬に完成する自社醸造のワインを楽しみに待ちたいと思います!

(長野地域振興局 商工観光課 熊谷)
坂城葡萄酒醸造株式会社 Vino della Gatta SAKAKI
〒389-0601 埴科郡坂城町坂城9586-47
TEL:0268-82-2208
ランチタイム   11:30~15:00(14:00LO)
ディナータイム  17:00~21:00(20:00LO)
Mail:vdg-sakaki@grape.plala.or.jp
Facebook:https://www.facebook.com/vinodellagatta/

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