こんにちは!
長野地方事務所商工観光課のKです。
さて、長野県では「信州いいね!企業インタビュー」と題し、県内で特徴的な取り組みをされている事業者さんにお話を伺い、その内容をブログに掲載することで、起業や経営のノウハウをみなさまに発信しています。
今回の事業者さんは、坂城町に本社を置く「有限会社 ラジエル」。
最近、色々な場所で「モノからコトへ」という言葉を目にします。「商品の価値」よりも、「その商品によって得られる体験」が重視される時代になってきたとも、よく言われます。
ラジエル代表の滝澤 麻子(たきざわ あさこ)さんは、そんな時代の変化に対応しようとする一人。変わっていく時代に適応するように、働き方も変えることを提唱する滝澤さんに、お話を聞いてきました!
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-今日はよろしくお願いします。まずは、(有)ラジエルの事業内容を教えていただけますか?
はい。当社はカーテンの製造と販売、雑貨店の経営、そして『お部屋の着せ替え』を主に行っています。
-『お部屋の着せ替え』・・・?何をするのでしょうか?
こちらは、他の事業の経験を活かして最近始めたサービスです。
今は、大体の人が何でも持っている時代であり、物自体の価値が薄れつつあります。新聞にも「モノより、コト」というフレーズがよく並んでいますよね。それに加え、地方都市では人口が減少して高齢化が進むことで、若年層の消費人口はどんどん減っていきます。そんな時代に、カーテンを単体で販売したり、たくさんの雑貨をお店に並べて販売したりすることには限界があると私は思っていました。消費者に向けた新しい体験を創って、売っていこうということで、着手したのが『お部屋の着せ替え』です。部屋を飾る「モノ」をまとめて、一つのスタイルとして売り出し、お部屋を着せ替える過程を体験してもらうサービスですね。
-『お部屋の着せ替え』は、リフォームとは違うんですか?
はい、異なります。これまでは、家を建てたり、リフォームをしたりする際に自分好みの部屋をつくろうとすることはあっても、賃貸住宅でそれをやろうとするのは相当ハードルが高かったですよね。着せ替えは、貼って剥がせる壁紙を使うことで、賃貸住宅でもできる点が大きな特徴です。空き家問題もある中、従来はリフォームやリノベーションが主流でしたが、「あまりお金をかけずに、既にあるもの・持っているものをどうやってより良くしていくか」という時代が来ようとしています。民泊やカーシェアリングが世界的に注目されていますが、今後シェアリングエコノミーは益々進化していくと思っています。
-いつごろ始まったサービスなんでしょうか?
昨年(2015年)の10月にスタートしました。これまで世の中に無い概念なので、どういう見せ方をして売っていくかという部分には頭を悩ませました。それから1年が過ぎましたが、まだまだ皆さんに浸透してはいないですね。その理由は、自分で着せ替えをしてくださいと言っても、日曜大工やDIYが好きな人でないと取っ付きづらいということがあると思います。本当は誰でもできるぐらい、簡単な作業なのですが。
そこでまた生まれたのが、誰かが不得意なことを、それが得意な誰かに手伝ってもらえたらいいよね、助かるよねという発想でした。でも、当店のスタッフが手伝うとなると、お店の人員が足りなくなってしまいます。だから、一般の方でDIYが好きな方やカラーコーディネーターの資格を持っている方、風水のお勉強をしている方などを募集し、その人たちにお手伝いをしてもらうような仕組みを考えれば、お部屋の着せ替えのハードルも低くなるのではないかと考えました。名称は、「エルター(LTER)」。
-どういった意味があるのでしょうか?
エルターという名称は、雑貨店のほうでLOVE・THANKS・ENJOYというテーマを提唱していることとリンクしています。これまでは3G(我慢・義務・犠牲)の働き方の時代だったのですが、これからはLTEの働き方に変えましょうということを、数年前から経営のセミナーなどでお聞きしていまして。何かを犠牲にして働く時代から、これからはLTEを重視して働く時代になっていく。そういった時代の動きに適応するような会社のしくみを作っていく必要があると感じていました。エルターは、まさにそういう制度なんです。現在お仕事を持っている方でも休みや空いた時間を使って、得意なことを誰かに教えてみませんか、と知り合いを中心に募集を始めたところです。
-エルターは、従業員という扱いになるのですか?
雇用主と従業員という関係ではなく、当社としてはあくまでも場所を提供するだけですね。お店の空間を提供し、色々な人に使っていただくことで、人や情報の集まるプラットフォームを作りたいと思っているんです。そうすれば、来店したことのない人を呼び込む流れも生み出すことができます。
エルターになってもらいたい方にお話を聞くと、普段活動する場所が限られているという話をよく聞きます。だったら、ラジエルであなたの宣伝を手伝うので、あなたもエルターとしてラジエルの事業に関わり、力を貸して頂けませんか?という風にお誘いをしています。
-エルターは、必ずしも『お部屋の着せ替え』にのみ携わるという事ではないのですね。
はい。『着せ替え』にまつわる仕事に限定してしまうと、集まる人も限定されてしまい面白くないと思いますから。仕事上、様々な方から、周囲が驚くような特技や趣味を持っているのに活かす場所が無い人がいるという話をよく聞きます。能力を活かせる場所が無いのはもったいないし、そういう人が集まれば、どこかで化学反応が起こるかもしれません。ですから、特定の分野に限らずに幅広くエルターを募集しているところです。
-エルターとお客さんだけでなく、エルター同士の繋がりも生まれそうな取組みですよね。
そうですね。あとは、エルターと企業の繋がりも生まれると思っています。やりたい事業はあるのに、人が集まらなくて苦労している企業などの助けになれることもあればいいですね。
-気軽に登録できてメリットも多いようですが、登録料はかかるんですか?
登録料は頂きません。ワークショップを当店で開く場合、会場代は頂きますが受講料などはエルターに直接入る仕組みになっています。お店の1Fと2Fに、会場として使ってもらえるスペースがあります。
-おしゃれな家具や、可愛い雑貨に囲まれているので、ワークショップも良い雰囲気の中でできそうですね!時間があれば、雑貨屋さんもじっくり見て回りたいなぁ・・・(笑)。
ぜひまた来てください!(笑)
最近また新しく始めたのが、プレゼントやビンゴ大会の景品などを、見繕ったりラッピングしたりする『贈り物コンシェルジュ』というサービスです。今まではタオルなどが主流だったノベルティや粗品も、もっと気の利いたものに変えてみませんか?と企業にはアピールしています。LINEの会員さんが2000人ほどいるのですが、LINEトークを使ってご依頼いただければ、コンシェルジュがご希望に沿う贈り物を提案します。
-お客さんにしてみたらすごく楽ですね!
はい。最低限、贈り物の目的と、個数や予算を教えていただければご提案できますので。ぜひ、色々な方に利用していただきたいと思っています。
-『お部屋の着せ替え』も、エルター制度も、今までにないことを発明して広めているところだと思いますが、その中で難しく感じていることはありますか?
うーん・・・やっぱり時間がかかることですかね。新しいことを一つやるにしても、どこの会社もやっていなかったことなので・・・。新しいものを、皆さんにどう投げかけていくのかという部分はすごく時間をかけて考えています。もちろんそれに加えて、今までのお店の経営の方も同時にやっていかなければなりませんから。売り上げや、競合店のことなど、考えることはたくさんあります。
-最後に一つ教えてください。新しいアイディアは、どこから生まれてくるのでしょうか?
苦肉の策ですよ(笑)。どうやったら、競合店などの脅威から自分の会社を守れるかということをいつも考えています。あとは、どんなサービスがあったら、お客さんはラクかな?楽しいかな?という視点を、大切にしています。
今日社内で起きている問題に対処しながら、同時にずっと先、次の時代のことも考える。で、チャレンジする。かなりの確率で失敗するから、それを改善して、また考えて、行動して・・・それが苦にならない人でないと、続かないかな?
加えて大事なのは社内外の人財・人脈だと思っています。いざという時に力になってくれます。経営者になって15年ですが、本当に素晴らしい人達とつながることが出来たのが何よりもの財産です。経営しているとピンチになることもあるけれど、困った時に力になってもらっています。正にブレインです。そのつながりが事業を行う上で武器になることもありますし、智慧を授けてもらったり、凹んだ時には勇気づけてくれたり。今、私が元気に経営者をやっていられるのも、社員、家族、友人、私を取り巻く人達のお陰だと、痛感しています。
とにかく、経営者になって、社会を知ることができ、人間を知ることができ、色んな経験もできて、本当に良かったと思っています。
-次々と新しい挑戦をするには、広い視野や、人とのつながりも必要なのですね。エルターとの繋がりも、今後生まれていくのが楽しみですよね。今日はありがとうございました!
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インタビューは以上です。
エルターという新しい働きかたを広めようとする滝澤さん。
地域の人がつながることで、新しい可能性が生まれそうな取組みでもあります。
そして、更なるアイディアも芽を出すのでないかと、お話を聞くなかで感じました。
今後も、滝澤さんの活動から目が離せません。
(『お部屋の着せ替え』について、くわしくはこちら)
有限会社 ラジエル(http://raziel.jp/index.html)
〈本社〉〒389-0605 埴科郡坂城町上平2291-37
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