2021.08.23 [ 林業総合センター ]
森林の恵みを地域で活かす
長野県林業総合センター指導部 ぶらた森 です。
森林に囲まれた長野県において、現在の健全な森林を維持していくためには、山村地域の活性化が欠かせません。そこで、山村地域の主力産業と言われる林業を核とした地域のリーダーである「長野県林業士」を育てるための「林業士入門講座」を林業総合センターで実施しています。
山村地域の主力産業である「林業」と聞くと、木材を利用するだけと思われますが、歴史的に見てそのような時代は極めて稀なこと。さらに山村地域で森林資源となると、木材が重要だったことは間違いないとしても、山菜や獣肉などの食料、毛皮や植物の繊維などの衣類、キハダなどの薬用植物も重要だったようです。
講座では、こうした理解を深めるための講義から始まります。
その上で「地域のリーダー像」と「林業士の活動」を知るため、現地へ出向きます。
今回はまず、林業のプロが指導する形とは異なる、市民主導型のリーダーが活躍する伊那市ミドリナ委員会の活動を見せていただくことにしました。
伊那市ミドリナ委員会は、伊那市が策定した「伊那市50年の森林ビジョン」のゴールに向けて活動するために、市民自らが立ち上げたグループで、「森と人の美しい共生」に向けて「森の魅力」を様々な形で発信しています。
今回の講座では、市民がもっと身近に森林を感じるために企画しているミドリナカフェに参加。「森の香りを楽しもう」と題し、森の散策から植物の香りを抽出する蒸留水の作成を行い、参加者だけでなく受講生も森を楽しんで帰ることができました。
次に訪れたのは、筑北村。昨年度長野県林業士に認定された市川満久さんの現場を訪れました。市川さんは、長野県林業士として、筑北村で長く続いている桜花木と飾り松の生産を継続させていきたいとして、奮闘しています。
今回は、実際に花木として生産するサクラを育てている畑を見せていただくとともに、皆伐跡地で新たな畑づくりに挑戦する現場も見せていただきました。
当日は、2018年度に長野県林業士に認定され、市川さんとも連携している麻績村の橋詰一生さんの活動場所へもお邪魔させていただき、地域で活動する林業士としての苦労や実際の活動における悩みを含めた貴重なお話をお伺いすることができました。
お二人からは、長野県林業士に認定されたとしても、地域でリーダーとして認められる存在になるのは別だと強調していました。それでも長野県林業士に認定されたことで、少しずつ地域の皆さんと話ができるようになり、地域の中での良好な関係を築きつつあることが伺え、地域のリーダーに近づいていると感じました。
若手林業士として活躍を始めたお二人の今後に期待するとともに、今回の受講生も地域で活躍できるような助走路として、この講座を活用していただければ良いと思っています。
今年度も12月までの日程で林業士入門講座が開催され、来年2月に予定されている林業士認定証書授与式では、今年度受講された7名が無事に林業士として地域で活躍できるように支援していきます。
今後、実際にどのような内容で進めていったのかについては、折を見てこのブログで紹介させていただければと思っています。
〈本件に関するお問い合わせ先〉 林業総合センター指導部 TEL:0263-52-0600 FAX:0263-51-1311 メール:ringyosogo@pref.nagano.lg.jp
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