信州森林づくり応援ネットワーク

あなたにちょうどいい森林との付き合い方を探す場所、それが「信州・森林づくり応援ネットワーク」です。楽しみ方を発見すれば、森林との距離はグッと縮まりますよ。信州には、森や山などの自然に魅了されている多くの人がいます。そんな人々が、きっかけのほしいあなた、つながりを求めているあなた、スキルアップしてみたいあなたをご案内します。信州の木を使った取組の話題もありますよ。

地域の核となるためには~林業士入門講座~

長野県林業総合センター 指導部です。

7月から始まった「林業士入門講座」も今回が第3回。12月までの研修の折り返し地点になりました。
ということで、今回はまず、講座の前半戦で学んだことを活かし、地域での活動を行ってきた結果を踏まえ、自分たちが進んでいきたいと考えている今後の活動について中間報告をお願いしました。

この時、長野県林業士として最前線で活躍している「林業士会」の役員さんにも同席頂き、実際の活動を進めていくためのアドバイスをいただきました。

さらに、今回の研修では仲間づくりを進めながら、具体的に活動を進めていくための様々なアイデアを学ぶため、長野県を飛び出して山梨県で活動するグループの状況を教えていただくことにしました。

今回お邪魔したのは、山梨県西部で林業を核とした地域活動を積極的に行っている「山存」グループさんと、自然とオオムラサキに親しむ会の2か所。

最初にお邪魔したのが、「山存」グループ。この地域で林業を営む「有限会社天女山」を中心として、地域の工務店や造園業者、塗装業者、板金業者、農業、レンタル会社、別荘管理会社など、山梨県北杜市の大泉地域や清里地域を拠点にしている中小企業が集まった団体。「山暮らしで困ったことがあれば解決します。」と、住環境を中心とした地域のスペシャリストが集まって、連携を図る取り組みを行っています。
今回は、グループの代表者である有限会社天女山の小宮山社長さんからお話を伺いました。
熱い想いをお持ちの小宮山さんからは、山梨県の林業事業体の概要から、移住者が多い北杜市の特性、さらに地域の課題などを語っていただき、山存グループを創るきっかけから現在の活動までを紹介いただきました。

山存グループが行う最大の行事は、8月の山の日に開催するフェスタとのことですが、この活動を企画する中で同じ地域で働く仲間の信頼関係が構築されることがとても良いことだと考えておられました。信頼関係が構築できると、お互いがお互いの仕事を紹介しあう仕組みにつながり、移住者が多い新住民にとって、困りごとがあれば気軽に相談できるプロが近くにいる安心感が提供できると考えていました。
また、フェスタでは会員企業がプロの技を見せる講座を開催しており、天女山では、チェーンソーや刈払い機の安全な使い方や、山の管理の方法を指導しているとのこと。
こうした活動を通じて、自分の山の手入れを学び、手入れを始めた方や、仕事を請け負うことができたなど、誰に頼めばよいのかわからないと思っていた山での暮らしを助けることができているとのことでした。

一方の自然とオオムラサキに親しむ会では、北杜市長坂町にある北杜市オオムラサキセンターの指定管理を受けながら、地域の里山を保全する活動を続けています。
長坂町周辺は、日本の国蝶でもあるオオムラサキが数多く生息できる優れた環境として昭和50年代に評価されたのですが、その後の開発等で生息環境が失われることを危惧して会が設立され、自然環境保全の任意団体として活動する中で、オオムラサキが棲める環境整備の必要性を感じ、森林整備に関わったとのこと。
今回は、長年にわたってこの活動を指揮してきた跡部館長から、活動を紹介いただくとともに施設も見学させていただきました。

オオムラサキの里として認知された時代は、人々と森林との距離が近く、森林整備も積極的だったとの認識で、地域の森林整備を地域住民との連携ですすめ、地域づくりの中心として機能させていました。
しかも、こうした活動が将来にわたって続けることができるようにと、次世代の若手職員の育成にも力を入れていました。このため、森林整備で出た木材を薪材として販売したり、窯でピザを焼くイベントを開催するなど様々な収入源を得るための工夫を行い、若者たちの生活基盤を整えることも進めていました。

林業を核とした地域づくりだからといって、山林所有者や林業従事者だけを相手にしていても、地域の課題解決にはつながらないことを改めて感じさせていただきました。
しかも、今回お邪魔した2つのグループは、単純にボランティア活動として地域活動を行っているわけではなく、必要経費はきちんと稼いでいること。将来的にはこの組織だけで自立できる仕組みを作っていくことが不可欠だと考えていることなど、地域を支えていく仕組みとして参考になることが多かったです。

今回の講座では、自分たちの中間報告を先輩林業士に聴いていただくとともに、地域の人と一緒に活動している先進的な事例を見ていただきました。
今年度の林業士入門講座も12月で終了しますが、これまでの研修を活かしてどのような取りまとめにつながっていくのかが期待されます。

 

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