2015.06.06 [ 歴史・祭・暮らし ]
初夏の信濃路に 【井月さんのこころ117】
井月さんのこころ シリーズ その117
善光寺の御開帳が、5月31日(日)閉幕を迎えました。4月5日からの期間中の参拝客は前回を34万人上回り、過去最高の707万人であったとのことです。梅が咲き、蝶が舞い、鶯が鳴いていた春から、信濃路も青葉・時鳥・初鰹の初夏を迎えています。この期間中、善光寺さんの東参道に建つ井月さんの句碑 「思ひよらぬ梅の花見て善光寺 井月 と 蝶に気のほぐれて杖の軽さかな 井月」に目を留めていただいた善男善女もきっと多かったことと思います。遡回その109 遡回その112
今週の一枚は、「お花まつり」です。
5月25日は、旧暦の4月8日で、灌仏会(お釈迦様の誕生日)でした。31日(日)小野宿市に合わせて曹洞宗有冨山祭林寺で「お花まつり」が行われ、大勢の子供さんたちで賑わいました。 方丈様とは先週、先々週と3週連続のありがたい御縁です。
きれいな花々で飾られたお釈迦様の誕生佛に甘茶を注いで「身体堅固」、「学業成就」などを祈念します。お釈迦様は生まれて直ぐに七歩歩いて、右手で天を指し、左手で地をさして「天上天下唯我独尊」と申されたのだそうであります。その話しは、昨年のお花まつりの頃【井月さんのこころ63】に記しましたので、今回は、その写真を中心に紹介しましょう。
本堂内は、たくさんの子どもさんや父母・祖父母などでいっぱい。トリニダード・トバゴの国民楽器「スティールパン(Steelpan)」のライブ演奏も行われました。境内では、ヨーヨー釣りや綿飴が子ども達に配られ、甘茶も振舞われていました。
小野宿市も今年で4回目、年々賑やかになっています。
「こめはなや」さん界隈も、木工作品の実演などが行われ、奥の広場にはテントが張られ、菓子や染物や陶器など様々な品物が売られて賑わっていました。両小野中学校美術部の皆さんは、手作りの木製スプーンやフォークを販売していました。
小野宿問屋の一般公開も行われていました。初期中仙道・伊那街道の宿場の問屋であった旧・小野家の建物と保存文書は、県宝指定になっています。そのほかにも数々の由緒ある品々が遺されていますが、その中から古い順に数点紹介しましょう。
まず、上伊那を代表する江戸時代中期の歌人・桃澤夢宅の和歌「人々は…… 」の軸装です。二階部屋の床の間に掛けられています。19世紀初頭の小野宿「小野社中」の様子が解る説明書きが添えられています。お読みください。
次に、一階座敷にある小坂芝田(こさかしでん)の襖絵4枚。小坂芝田については、ほととぎす鳴く頃【井月さんのこころ61】 に登場しました。「池上秀畝」「中村不折」と並び称される「伊那の三筆」のひとりです。襖の写真がうまく撮れませんでしたので、右端の襖の落款部分と解説のみ拡大してみました。芝田が「霞嶂」と名乗っていた若かりし頃の作品のようです。
次に、一階でも畳が一段高い奥座敷「上段の間」に掲げられている「天壌無窮(てんじょうむきゅう)」の書。湯浅倉平謹書とありますから、小野家の当主であった小野八千雄氏が戦前に秘書官として仕えた内大臣湯浅倉平の直筆のようであります。湯浅倉平は、高橋是清や斎藤實らが暗殺された2・26事件(昭和11年)の直後に、斎藤實の後を継いで内大臣を務めています。
小野宿問屋の斜め向かいにある「小野酒造店」は、このシリーズに既に何回も登場しています。丁度この日の信濃毎日新聞2面3面に、平成26年酒造年度「全国新酒鑑評会」において『金賞』を受賞した県内12蔵が紹介されており、見事『夜明け前』の小野酒造店が金賞受賞の栄冠に輝きました。全国各地から銘酒852点が出品され、特に優秀と認められた222点が金賞を受賞し、長野県内からは12点、上伊那管内からは、この小野酒造店の『夜明け前』と宮島酒店の『信濃錦』の2点が選ばれたとのことです。
『信濃錦』は、遡回その101(立春のよき酒に 【井月さんのこころ101】)「立春朝搾り」の記事で紹介しました。『夜明け前』も『信濃錦』も、まことにおめでとうございます。
あいにくこの日は、夕方家内を迎えに車の運転があり、試飲ができずに誠に残念でしたが、………。昨年のお花まつりの頃【井月さんのこころ63】に小野宿市の様子をたくさん紹介しましたので、今回はこの程度にしておきます。
この日の晩酌は、旬の鰹のたたきと鰯の刺身をツマミにしました。
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