2015.06.06 [ 歴史・祭・暮らし ]
初夏の信濃路に 【井月さんのこころ117】
そんな時期に井月さんが詠んでいる句です。
直(ね)を聞て叱られまいぞ初松魚(がつを) 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
松魚(鰹)は、黒潮に乗って鎌倉・小田原辺の沿岸へ回遊してくる若葉の候、釣って、す早く早飛脚で江戸に送った。江戸っ子は値段との相談なしで、驚くべき高価な初松魚を珍重し、女房を質に置いても買った。
「流行医の玄関先や初松魚 井月」も、はやる医者で金回りがよいから初松魚を買っている。江戸にいた井月の若いころの作か。
(初松魚・夏)
初鰹といえば、「目には青葉山ほととぎす初鰹 素堂」江戸時代前期の俳人山口素堂の句が浮かびます。この句も遡回その61(ほととぎす鳴く頃【井月さんのこころ61】)に登場しました。
甘茶かけ子等願かけて灌仏会 青巒
お日限さまも微笑みてをり 朴翆
清浄の先に阿頼耶の目まとひか 青巒
百垓とても足らぬ不可思議 朴翆
ねぎ大葉山ほど盛って初がつお 詠人知らず
先週も登場した「目まとひ」は、人の顔などにまつわりつく小さな羽虫のことで、夏の季語。
先週の辻地蔵尊の御札は、こちら。お日限りさまの左右に、出世、子安のお地蔵さま。
今週の結びは、愚良子先生のこの句です。
「春日愚良子句集」から
耳の穴左右にありてほととぎす 愚良子
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