【乾燥室に吊るされた経木】
ところで、皆さんは経木って何だかご存知ですか?
昨今の日常生活の中では、あまりお目にかからないものかと思いますが、経木は木を薄くスライスしたもので、昔は魚やおむすびなどを包んだり、皿やふたに使われるなど、食品業界には欠かせないものとなっていました。
元々は、聖徳太子がお経を書いて残す板として使っていたころから、経木と呼ばれるようになったという説もあるようです。
経木はかつて、食べ物の包装や、マッチ箱、経木帽と呼ばれる帽子等にも使われていましたが、明治になると駅弁の容器として全国に普及しました。また、食品の臭みを取るほか、余分な水分を取る吸水力や抗菌力が特徴で、現在は蒸し器の中に敷いたり、ハガキやメモ帳、また照明の外枠としても使われています。
しかしながら、需要が減少する中で経木の生産者のほとんどが廃業し、後継者もなかなかいないため、経木は絶滅の危機にあるともいわれています。
調べてみると、どうも経木の厚さは様々で、0.2mm程度のものから、更に薄くまるで紙のようなものまであるそうで、山岸さんが作られているのはその後者である「薄経木(うすきょうぎ)」です。
【出来上がった経木②】
【ていねいに束ねて…】
【包装し、梱包されます(3千枚/梱包)】
【おにぎりが一層おいしくいただけます:経木利用の一例】
現在は、大阪方面への出荷が約半分、その他は東京をはじめとした関東方面や中京方面への出荷だそうで、ともに高級料亭などで質の高い食器とともに貴重な敷物として大切に消費されているとのことでした。
「地元の木を使うことは、地球環境にも寄与できるし、森林の新たなサイクルを生み出す原動力にもなっている。」また「木をこれからも継続的に使うことで、自分の代でこの仕事を絶やさないようにしなくてはいけない!」と熱っぽく話す山岸さん。
今春からのコロナ禍で、注文が全くない時期が3か月も続いたそうですが、7月中旬以降に注文が復活の兆しを見せ、93才になられた今でも、経木生産にかたむける情熱には頭が下がります。
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