松本市の島内山田地区では、長野県森林づくり県民税を活用した「里山整備利用地域」として、地域の里山を整備して、山の恵みを利用する取組が住民の手により行われています。
地区ではこの取組に地区以外からも多く参加してもらおうと、「開かれた里山整備・利用計画」を申請、それが松本地域では第1号となる「開かれた里山」として令和6年3月に認められ、4月から新たな活動が始まっています。
今回はその活動をご紹介します。
島内山田地区は松本市の北側広陵地に位置し、山野草・野鳥・昆虫など貴重な動植物が非常に多く生息する自然豊かで、更に遺跡や史跡も多く存在する地区です。標高約800mの集落から眺める安曇野・北アルプスの眺望は絶景です。
また、古代の土器やそれを焼いた穴窯跡が多く発掘されるなど、古くから焼き物が盛んな地です。この地は
- 燃料となる薪が取れた
- いい土(粘土)が取れた
- 窯を築くいい斜面があった
- 豊富な水があった
- 松本盆地という消費地に近かった
以上の理由から、穴窯跡が多く発掘されています。現在も「山田窯」という陶器窯として活かされ、この地の里山資源の有効利用につながっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
しかし近年、生活様式の変化や木材価格低迷等により薪・炭の用途が減少、森林の荒廃が進み、アカマツの松くい虫被害の急拡大とともに、イノシシ等の野生鳥獣による耕作地への被害が問題となっています。
このため地区では、以前から町会で実施していた里山環境整備活動と、森林組合による森林整備事業を組み合わせた、里山の森林整備を進めてきました。
そして、こうした継続した取組に加えて、特用林産物(きのこ類)の栽培や希少な野生動植物の保護活動など、もっと地域資源を活かしたいという機運向上から、令和元年に発足した地域協議会において新たな里山整備活動が進められてきました。
また地区では、こうした活動や地域の資源を地域以外の方にも知ってもらうため、文化財マップを作成しました。
島内山田 文化財マップ(散策路・天然記念物・遺跡・史跡・伝承)
↑ クリックするとPDF形式のマップがダウンロードされます。
散策路の入り口や史跡の前には案内看板が立ててあり、散策する時に分かりやすくなっています。
地区の今年度の活動を紹介します。
5月
シイタケ駒打ち体験 広葉樹の原木にシイタケの駒を打ち込む体験(参加費無料)
6月・9月
地域で生産した薪を活用した陶芸教室(ろくろ等を使った作品づくり)、作った作品を穴窯で焼く体験
12月
講演会「里山のくらしと東山古窯跡群」 遺跡発掘調査に詳しい安曇野市教育委員会 山田真一氏の講演
どの体験も、地区の方が丁寧に案内してくれて、参加者から好評をいただく内容になっています。
来年度もこうした「開かれた里山」の活動は続きます。新聞等にイベントの情報が載りますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
マップを片手に島内山田地区を散策すると、新たな発見や出会いがあるかも知れません。
松本市島内山田地区の位置はこちら
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