2021.12.17 [ 自然・名水・秘境 ]
よいヒノキの種を採りやすくするには?~大原採種園(南木曽町)で断幹作業を行いました~
木曽地域振興局林務課のMです。
長野県内の森林は、第二次大戦後に植栽され十分に成長した人工林が多くを占めるようになり、「育成の時代」から「利用の時代」を迎えています。しかし、森林の公益的機能を持続的に発揮するためには、伐採後はなるべく早く元の森林の状態に戻していく必要があり、そのためには成長、形質等の特性に優れた苗木を植栽することが求められます。
このため、こうした苗木を育成する種子は、主に上記の特性が優れている個体として選抜された精英樹※1等の優良品種が植栽された「採種園」で採取されています。
※1 精英樹:国の林木育種事業で成長が早いこと、幹がまっすぐであること、材質が優れていることなどの形質が優れていると選抜された個体
県内には、現在カラマツ6か所、ヒノキ3か所、スギ1か所、アカマツ1か所の採種園が設置されており、これらの採種園では、よりよい苗木生産に向けて、近年新たに選抜された特定母樹※2等への採種木の更新等の改良が行われています。
そのうち、木曽地域には、南木曽町にヒノキの大原採種園があり、木曽地域振興局林務課で管理を行っています。
※2 特定母樹:精英樹同士を交配して得られた個体から、より成長や材質の形質が優れている選抜された系統
良質な種子の安定生産を担う採種園では、通常の木材を収穫する森林管理と異なり、種子が容易に採れるように採種木を必要以上に大きくしないための断幹や、枝葉にしっかり陽光をあてて花をつけさせるための剪定等の細やかな管理が必要です。
木曽地域振興局林務課では、これからより一層重要となる採種園の管理を学ぶ一環として、同じヒノキの採種園を管理する上伊那、南信州地域振興局と連携して、採種園管理技術研修会を行いました。
木曽地域振興局で、森林づくり推進課の担当者、林業総合センター研究員、採種園管理の経験がある職員から、県内の苗木の需給状況と課題、採種園の設置状況、植栽されている採種木の特性、採種園管理の内容や実施上の注意事項等の講義を受けた後、実際に作業を行う大原採種園に移動しました。
大原採種園では、ほとんどの採種木が数年前に1回目の断幹を実施済みですが、その後の成長で再断幹が必要になっていました。
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