「旬」の宅配便~佐久っと通信~ いつでも新鮮! 職員が見つけた佐久地域の「旬」の魅力をお届けします。 どうぞ、さくっと見てください。

「旬」の宅配便~佐久っと通信~

いつでも新鮮! 職員が見つけた佐久地域の「旬」の魅力をお届けします。 どうぞ、さくっと見てください。

しあわせ信州 > 長野県魅力発信ブログ > 「旬」の宅配便~佐久っと通信~ > 佐久であそぼう > 佐久の歴史散歩その2 「石にまつわる民話・昔話」 

佐久の歴史散歩その2 「石にまつわる民話・昔話」 

こんにちは 農政課の歴男Uです。

毎日暑いですね。こんな時は涼しい高原に出かけませんか? 
でも、ただ高原に行ってもつまらないものです。佐久には民話や昔話が多く伝わっています。今回は、高原にひっそりと佇んでいる石にまつわる民話・昔話を紹介します。

貞光の試し石(軽井沢町旧碓氷峠)
 昔、碓氷峠の街道ばたの牛方の家に親思いの若者がいました。彼は力持ちになって親孝行をしたいと峠にある大きな石を持ち上げる鍛錬をしました。最初は全く動きませんでしたが、日々の鍛錬により持ち上げられるようになりました。
 ある日のこと、若者の牛が峠道を踏み外し谷底まで転げ落ちましたが、あわてず下ってゆき、荷物を積んだまま軽々と牛を背負って登ってきました。その姿を見ていた旅の武士が「ぜひ私の主人に仕えてください」といいました。若者はその勧めに従い京に登って源頼光の家来になり、修行の末立派な武将になりました。その名を碓氷貞光といい、頼光の四天王の一人に数えられました。貞光が子供の頃力試しをした石は「貞光の試し石(さだみつのためしいし)」と呼ばれるようになりました。

旧碓氷峠から軽井沢側に少し下って右側には碓氷貞光を祀った祠があります。その道の反対側三度山への林道を20mほど行って右下の林の中にあります。その大きさからは、人間はおろか重機を使っても持ち上げることは難しいと思ってしまいます。確かに力持ちであったでしょうが、ずいぶん誇張したものですね。
 
 
 

 
 石を見たら、帰りに熊野皇大神社前の茶店で名物の「(貞光の)力餅」を食べてはいかが。写真は辛み味(大根おろし)です。あんこ、きなこ、クルミゴマもおいしいですよ

雨乞い臼石(佐久穂町大日向)
 ある年、ひどい日照りが続き、村人は近くの茂来山で雨乞いをしましたが、いっこうに雨が降りません。ある日通りかかった行者さんにお願いしたところ、「峠に続く道が川に迫っている辺りに臼のような石がある。その石に溜まっている水をまいて祈ればきっと雨が降る」といいました。その石は、村では天狗の餅つき臼と呼ばれていて、祟りがあるからと言って誰も近づいたことがなかった石でした。あんまり行者さんに勧められるので、皆で臼石まで行き、くぼみに溜まっている水を汲んでまきちらしながらお祈りをしました。すると、空が黒く曇ってきて大粒の雨が降ってきました。
 それから、村人に怖がられていた「天狗の餅つき臼」は「雨乞い臼石(あまごいうすいし)」として、村人に頼りにされ、親しまれるようになりました。
 
 古谷ダム上流国道299号線臼石橋を過ぎてすぐ左側にあります。昔は抜井川の河原にあったそうですが、工事のため現在地に移されました。中生代白亜紀(1億4千万年~7千万年前)の硬砂岩です。長年くぼみに丸玉石が入り込み、回転作用によって大きな穴(直径80㎝)になったそうです。願い事がかなう石として親しまれ、町の天然記念物となっています。穴の中には賽銭が投げ込まれていました。

雨境の鳴石(立科町雨境峠)
 山には神が宿っています。山の麓に暮らす人々、峠を越える人々は、厳かにそびえる蓼科山を仰ぎ見て、いつも祈っていました。時には山は荒れ狂い、村人にも旅人にも禍が降りかかることもありました。そこで、村人は「山から生まれた大きな石を積み、山の神様をお招きしてみんなの無事を祈ろう」ということになり、山に入り大きな石を見つけ山が見える峠の広場に2つの石を重ねてすえつけました。
この石をこぶしでたたくとコンコンといい音色が石と石の間から聞こえ、「鳴石(なるいし)」と呼ばれるようになりました。
 ある時、信心の薄い石工がこの石を割ろうとして力いっぱい叩いたところ、山なりがして地震が起き火の雨が降り、石工はもだえ苦しんでしまいました。こんなことがあったので、それからは不心得者がいなくなりました。

 県道40号線を雨境峠から女神湖に向かう途中、蓼科第2牧場の売店から100mほど入ったカラマツ林の中にあります。「鳴石」は別名「鏡(かがみ)石」とも呼ばれ、昔神様が蓼科山の頂から投げた鏡が落ちてきて石になったとも言われています。石は柵で囲まれていて、残念ながら叩いてみることはできませんでした。


 また、2㎞程先、峠を越え女神湖のほとりには鍵引石(かぎっぴきいし)と呼ばれる石があります。昔、赤沼(女神湖)に住んでいた河童はこの石に座っていて、旅人が通りかかると小指を結んで引き合う「かぎっぴき」を挑み、沼の中に引きこんだ。懲らしめてやろうと諏訪の頼遠が挑んで勝ち、負けた河童は赤沼を去る時葦の穂を摘み取って「俺が帰ってくるまで穂を出すな」と言ったという。そこでここの葦は穂がないのだそうです。

 もうすぐ夏休み。お子さんを連れて出かけましょう。図書館で本を借りて予習すればもっと楽しくなりますよ。

 <引用・参考文献>
 信州の伝説(角川書店、浅川欣一・大川悦生著)、ふるさと佐久の民話(櫟、大日方寛著)、続ふるさと佐久の民話(櫟、大日方寛著)、上田・佐久の民話(一草舎、滝沢きわこ著)、

ちなみに、皆さんの近くにもたくさん民話・昔話がありますよ。

枕返しの石(まくらがえしのいし、小海町杉尾)、重い石(おもいいし、佐久穂町高野町)信玄の兜石(しんげんのかぶといし、佐久市勝間)、鬼石(おにいし、佐久市前山貞祥寺)、爺石・婆石(じじいし・ばばいし、佐久市田口)、蛙石(かえるいし、佐久市小宮山)、竜磨石(りゅうずりいし、小諸市耳取玄江院)、鶯石(うぐいすいし、小諸市懐古園)

残念ながら、今は無いものもあります。

このブログのトップへ

このブログや記事に関するお問い合わせ窓口

佐久地域振興局 総務管理課
TEL:0267-63-3131
FAX:0267-63-3105