林務課のSです(^^)/
マツは、県内約100万ヘクタールの森林の16%を占め、針葉樹の中でも27%のカラマツに次いで2番目に多い木です(なお、長野県のマツは海辺の地方に生えているクロマツとは違うアカマツという種類です)
アカマツは、岩場や雨が少ないなどの条件の悪い場所でも生育できることから、他の木が生えない場所では防災上も重要な木です
またマツ林は、いまだ人工栽培のできない秋の味覚の王様、マツタケが発生する場所でもあります(人工栽培は、現在、長野県林業総合センターで鋭意研究中です)
長野地域は全般的に雨や雪などの降水量が多いこともあり、アカマツは7%と小さな割合ですが(他所ではそれほど多くないスギが2番目です)、最南の坂城町では岩山が多いこと、内陸性の気候が強く雨が少ないことなどからアカマツは27%と大きな割合を占めています(トップのカラマツ29%と大接戦です)
千曲川沿いに広がる坂城町では、奥山の植林されたカラマツより、里の近くに多いアカマツ(その多くが天然ものです)が地域の景観を形づくる故郷の木として親しまれています(そこそこマツタケも獲れるようですし……)
そのアカマツに、昭和60年以降、松くい虫の被害(正式には「マツ材線虫病」と言います)による松枯れが広がってしまいました
松くい虫被害は、北アメリカから材木の輸入に伴って運び込まれた「マツノザイセンチュウ」(1㎜に満たない回虫のような生物)という病原体が、昔から国内にいた「マツノマダラカミキリ」(2㎝弱のカミキリ虫」)に運ばれることで広がります*
*外来種(センチュウ)と在来種(カミキリ)が、なぜか共生してしまったことにより、爆発的に勢力を拡大したというちょっと特殊な事例です
その対策は、病原体のセンチュウを何とかするか、病原体を運ぶカミキリを何とかするかありません(具体的な対策はこちらリンク先の下の方です)
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さて、前置きはここらへんでということで……長い
坂城町では、地域のマツを守るために、年に2回「松くい虫対策会議」を開催しています
メンバーは、町役場(町長、副町長)、町環境衛生委員、同林業委員、関係地区区長、長野森林組合地元支所、地域振興局林務課と多岐にわたっていますが、町長さんが毎回出席しているところに町の本気度がうかがえます
まずはメンバー全員で現地の確認(新型コロナ対策のため数台に分乗)
坂城町では松くい虫被害の拡大を防ぐために、伐採+くん蒸処理や伐採+破砕処理、予防のための薬剤散布、抵抗性苗木(病気にかかりにくい苗木)への植え替えなどの対策(それぞれの対策はこちら…しつこい)を総合的に実施していますが……
白いラインの内側は、急傾斜の岩場のため伐倒作業が不可能なうえ、人家が近いため薬剤散布もできず、松枯れが進んでしまっています(白っぽい部分は枯れてしまったアカマツです)
ラインの両側は、伐倒処理と薬剤散布の組み合わせにより、松枯れの進行は抑えられています
ちなみに、こちらの白っぽい部分は落葉した広葉樹です(枯れてしまったアカマツではありません)
町では来年度、森林環境譲与税(令和6年から課税される国の森林環境税からの前金?です)を活用し、通常では手の打ちようがないこの場所での被害対策について研究を進める予定とのことです(人家も近く、直下にしなの鉄道が走っているため、放置できない……)
こちらは、下半分が松くい虫被害により枯れてしまった山です
現在、伐倒処理と薬剤散布の組み合わせにより上半分のアカマツを守っています
また、下半分には抵抗性苗木の植栽も行い、再生にも努めています
なお、枯れたアカマツの下からは実生のアカマツが生えてきているそうで、やはり「他の木が生えない場所」のようです(アカマツが残っている場所ではマツタケは生えるそうですが……)
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