林務課です。
平成24年度に行った「小さくてもキラリと光る取組み」事例を紹介しています。
最終回となる第8回目は、「森林根系に着目した治山事業の取組みについて」です。
1 背 景
長野市南部の信更地区では、平成22年7月15日~16日にかけて発生した記録的、局地的集中豪雨(平成22年7月15日22時~16日22時の24時間降雨量115mm・2時間雨量104mm 雨量局:長野建設事務所信里局)により、地区内の複数箇所で山地災害(山腹崩壊、土石流等)が発生し、下部集落や耕地、県道等に甚大な被害をもたらしました。
中でも、仙石地区では500m程度の間に17箇所の山腹崩壊が連続して発生しています。
被害後の現地調査で、以下のような特徴が確認されました。
①通常の場合、斜面崩壊の抑止に一定の効果を持つものと考えられている広葉
樹林で多く発生していた。
②土層が薄い樹林帯が比較的広く分布していた。
以上のことから、森林根系が今回の災害と密接に関連しているものと想定されたため、森林根系の分布等を把握する調査を実施しました。
2 調査方法
森林根系の調査は、以下の2通りの方法で実施しました。
①トレンチ調査(樹木の根元近くを1.5m程度の深さまで掘削し、根系の
分布を把握)
②電気探査(樹木の周囲で地表から地中へ向け電気を流し、抵抗値を測
定することで根系の分布を把握)
3 調査結果
2つの方式による調査から、次のことが分かりました。
①災害の発生した林分では、垂直方向への根(直根)の発達が50cm
程度と浅い。
②50cmより深い部分は礫に絡むようにしか根茎が発達していない。
③広葉樹を対象にした調査でも、表層から深さ30cm以上にはほとん
ど根茎が分布していない。
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