ほっと9(ナイン)ながの 長野で働くスタッフが、長野地域の9つ(ナイン)の市町村の「ホット」な魅力をご紹介!(長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、飯綱町、小川村) 私たちの日々の仕事の話、「ほっと」一息つける癒しの裏話、きっと役に立つ暮らしの豆知識、おすすめ絶品グルメ…などなど、ここでしか出会えない”ながの”のすがたをお見逃しなく!(旧「ほっとスタッフブログながの」)(写真:信濃町 黒姫山の冬)

ほっと9(ナイン)ながの

長野で働くスタッフが、長野地域の9つ(ナイン)の市町村の「ホット」な魅力をご紹介!(長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、飯綱町、小川村) 私たちの日々の仕事の話、「ほっと」一息つける癒しの裏話、きっと役に立つ暮らしの豆知識、おすすめ絶品グルメ…などなど、ここでしか出会えない”ながの”のすがたをお見逃しなく!(旧「ほっとスタッフブログながの」)(写真:信濃町 黒姫山の冬)

しあわせ信州 > 長野県魅力発信ブログ > ほっと9(ナイン)ながの > 長野地域の【農業】 > 廃校を活用したシードル醸造所 「北信五岳シードルリー株式会社」(いいね!インタビュー⑰)

廃校を活用したシードル醸造所 「北信五岳シードルリー株式会社」(いいね!インタビュー⑰)

りんごの名産地である飯綱町に、新しい会社が誕生しました。
北信五岳シードルリー株式会社は、廃校になった小学校の校舎を活用して、りんごのお酒「シードル」の醸造を行います
「廃校」に「シードル」。もう、聞くだけでわくわくしますよね。
「信州ベンチャーコンテスト2018」でも起業部門のグランプリを受賞し、いま話題のこの会社。代表の小野 司(おの つかさ)さんに、インタビューしました!


代表取締役 CEOの小野 司さん

-最初に、会社の事業内容を教えてください。

私達は旧三水第二小学校の廃校舎を活用したこの林檎学校醸造所で、シードルの醸造を行います。自社醸造のシードルの他に、地域のりんご農家からの委託醸造のシードルも造っていきます。

-学校の校舎でのシードル造り、発想が斬新で驚きました。

廃校は日本中で毎年約500件増えていると言われる、全国的な課題です。地元の農家が廃校を活用するというのも、ひとつの事例となるのではないかと思います。
そして私たちは、醸造所に加えて、りんごやシードルについて学んでいただく「学び舎」のような場所をここに作りたいと考えています。お客様はもちろんの事、農家の皆さんにもりんごやシードル造りについて勉強していただき、将来的には農家の皆さんにもシードル醸造の工程に参加して、本当の意味で一緒にシードルを造ってほしいと思います


廃校舎が、シードルの醸造所に。

-まさに「学校」ですね。造られたシードルを、この場所で飲むこともできるのでしょうか?

いずれはここにバルのようなスペースを設けて、お料理と一緒にシードルを楽しんでいただけるようにしたいという構想があります。とはいえ、ここまで来るのは難しい方も多くいらっしゃると思うので、キッチンカーでシードルやお料理を販売するというアイデアも出ています。多くの方にシードルを飲んでいただけるようなサービスを考えたいですね。

-酒販店などでも販売する予定はありますか?

はい。北信地域と東京都内を中心に酒販店や飲食店と契約して、シードルを置いていただく予定です。

-この校舎では、北信五岳シードルリーさんの自社シードルの醸造と、周辺農家さんのシードルの委託醸造を行うということですよね。生産されるシードルの量は、どれぐらいになる見込みですか?

醸造設備を1年間フル稼働させれば、750ml瓶で1万3千本ほど醸造が可能になる予定です。約5年間で、そこまでの生産規模に持っていきたいですね。


職員室だった部屋をリノベーションします。

-では、ターゲットにしている客層はどんな方たちでしょうか?

30~40代の女性を、メインターゲットとして考えています。以前から、シードルのイベントを開催すると、この年代の女性のお客様が多い傾向があるんです。また、ちょうど私と同世代ですので、マーケティングの面でお客様の感覚も掴みやすいのではないかと思っています。女性に気に入ってもらえるように、ラベルのデザインなども工夫していきたいですね。

-では次に、小野さんご自身のお話をお聞きしたいと思います。小野さんは、どういった経緯でシードル造りの世界に足を踏み入れたのでしょうか?

私は、飯綱町内のりんご農家に生まれました。専業農家だったので、ずっとりんごに育ててもらったと言っても過言ではありません。2005年頃、シードルを飲む機会があったのですが、その時に飲んだシードルがとても美味しく、新たなビジネスになる可能性を感じました。そして、私の実家でも酒販免許を取得し、町外のワイナリー様に委託醸造をお願いする形でシードルを造るようになりました。

-「シードル」という単語をよく耳にするようになったのはここ数年という印象でしたが、小野さんのご実家では随分前からシードル造りに挑戦しておられたのですね。

当時はまだ全国でも、大手メーカーの工場が青森県にあるぐらいでした。先進的なワイナリーがシードル事業を始めたのが、ちょうどその頃だったと思います。当時、私は東京や横浜でシステムエンジニアの仕事をしていたのですが、将来的にりんご農家を継いだ時の経営のために、中小企業診断士の資格の勉強などをしていました。そんな中で「農商工連携」や「6次産業化」というキーワードを聞くようになり、シードルはまさにその事例のひとつになるだろうと感じていました。


この秋、小野さんはご家族とともに飯綱町に移住。

-小野さんは、日本シードルマスター協会の代表理事も務めていらっしゃいますね。

最近になって国内のシードル市場も成長してきましたが、世界のシードル市場は日本の180倍超とも言われています。いずれ日本でも更にシードルが広まっていくことを視野に入れ、2015年に協会を立ち上げました。

-そして、北信五岳シードルリー株式会社の創業につながっていくのですね。設立経緯や、ビジョンをお聞かせください。

まず、これまでは委託醸造だった実家のシードルを、仲間とともに自社醸造で造っていこうと決めたことが最初のきっかけです。
また、実家と同じような町内のりんご農家がシードル醸造に挑戦しようとするときに、従来ではワイナリーにお任せして委託醸造を行ってもらう以外の方法がほとんどありませんでした。ただ、シードルへの需要が高まっていくことを考えたとき、本当に従来のままの方法でいいのか?すべて外部にお任せではなく、シードルの造り方や味のバランスなどをりんご農家の方々もきちんと勉強し、商品づくりに参加していくことが必要ではないか?そういう思いがあったことも、この会社を設立するきっかけになりました。
そんな私達の思いは、特産物のりんごや、女性の力を活用した町づくりに取り組む飯綱町にもご共感いただき、色々な相談にも乗っていただけるようになりました

-町の施策の方向性と小野さん達の事業が、うまくマッチングした形ですね。

町と一緒にお話をさせていただくようになった頃に、三水第二小学校が閉校予定であり、その後の校舎活用方法を模索していることをお聞きしました。それで校舎を見に行ってみると、想像以上に綺麗な校舎で、私の実家からも近く、これを活用しない手はないと感じました。本当に、私達の思いと飯綱町の思いがうまく一つになったと思います。
2018年3月に飯綱町が主催したビジネスプランコンテスト「いいづな事業チャレンジ」への挑戦も、事業計画を具体的にする良い機会になりました。賞も頂いて、いよいよ「林檎学校醸造所」を開くために本格的に動き出しました。


廃校舎の活用は、飯綱町と連携して行う。

-「信州ベンチャーコンテスト2018」でも起業部門グランプリを受賞されましたが、振り返ってみていかがですか?

事業プランを改めて考える機会にもなりましたし、それを多くの方々が評価してくださったのは非常に嬉しかったです。それに加え、県内で飲食業や宿泊業を営む方や、ビールを造っている方々と出会えたことも大きかったです。それらの出会いが、今後の商品開発や販路開拓に、きっと活きてくると思います。

-では、小野さんにとって、シードルの一番の魅力は何でしょうか。

おしゃれで、ワインよりもカジュアルなところですね。アルコール度数も高くないので、男女問わず楽しく飲めるのも魅力です。
このおしゃれでカジュアルだというシードルの魅力を、都会だけでなく、田舎らしさに上手くマッチングさせる形でこの地域に広めていきたいです。


知っているようで知らなかったシードルのこと、たくさん教えてくださいました。

-そもそもの話になりますが、我々が普段、生で食べているりんごでもシードルは造れるのでしょうか?

はい。よく食べられている「ふじ」でも、多くのシードルが造られています。しかし、甘くて美味しいりんごがシードル用としてベストかというと、そうではないんです。
お酒としてお料理と一緒に楽しみたいときには、甘いものではなく、きりっとした辛口が好まれますよね。そうしたドライな飲み口のものを造る際には、「甘味」や「酸味」に加えて、生食では感じづらい「渋味」が重要な要素になってきます。
私たちが造るシードルも、お料理と一緒に楽しんでいただくことを想定して、メインは辛口のものを考えています。ただ、お土産などでもらうシードルは甘口の方が飲みやすいと思いますので、ターゲットを分けて商品を造っていきたいと思います。

-すごく勉強になりました!そういった背景を知ったうえで飲むシードルは、より美味しいでしょうね。小野さん達のシードルが飲める日が待ち遠しいです。

私たちは、人が去ってしまったこの場所でお客様と一緒に楽しく学びながら、再び人が集まる場所を作りたいと思っています。この林檎学校醸造所のシードルをきっかけに、この地域のことが好きな方が増えてくれれば嬉しいですね

-今日はありがとうございました!

今回は、林檎学校醸造所が完成予定の旧三水第二小学校校舎でインタビューさせていただきましたが、廃校舎とはいえ建物はまだ綺麗なことに驚きました。あの校舎が、多くの事業者やお客さんで賑わう日が来ることがとても楽しみです。
現在、北信五岳シードルリー株式会社はクラウドファンディングにも挑戦されています。ご興味を持たれた方は、ぜひ応援をお願いします!(詳細はページ下部をご覧ください)

(長野地域振興局 商工観光課 熊谷)
北信五岳シードルリー株式会社
〒389-1204 上水内郡飯綱町大字倉井922番地
≪HP≫http://5gaku.com
≪Mail≫info@5gaku.com
≪Facebook≫https://fb.me/SchoolhouseCidery/
クラウドファンディング「林檎学校醸造所開設プロジェクト」について
・「クラウドファンディング」とは、事業者がインターネットを通じて一般の方々から資金調達をする仕組みです。
・今回、北信五岳シードルリー株式会社は、地域特化型購入型クラウドファンディング「CF信州」のサービスを利用しています。
・調達した資金は、シードルの学び舎の開設準備食堂バルのメニュー開発などに活用され、支援を行った方には、林檎学校醸造所で使える商品券オリジナルデザインのトートバッグなどのセットがプレゼントされます。
【ご支援はこちらから】https://cf-shinshu.jp/project/detail/457

このブログのトップへ

このブログや記事に関するお問い合わせ窓口

長野地域振興局 総務管理課
TEL:026-234-9500
FAX:026-234-9504