こんにちは、長野地域振興局商工観光課のT澤です。
長野地域の果物をご紹介するこの~果物語り~、Vol.2でご紹介するのは、長野市松代・千曲市を名産地とする、「あんず」です!
産地では農園以外にも、自宅の庭や畑の端っこで栽培する方が大変多いです。例え栽培していなくてもご近所から分けていただいたり、あんずの甘酸っぱいにおいに包まれて帰り路を急いだり、地元民にとっては原風景の一つとも言えるあんず。
本日はあんずにまつわる物語をご紹介し、皆様により身近にあんずを感じていただきたいと思います。
主役の名前は豊姫。かの有名な戦国武将・伊達政宗の血を引く宇和島藩二代藩主伊達宗利の娘として生まれた豊姫は、大名の参勤交代※のために建てられた江戸屋敷で暮らしていました。そこには父:宗利の領地である宇和島から運ばれて育ったあんずの樹が何本もあり、梅雨時になると甘くておいしい実を食べながら宇和島の話をするのが、幼い頃から姫の家族の習わしでした。
さて、時は江戸、大名の娘として生まれた宿命として、御年13歳で嫁ぐことになった豊姫。輿入れ先はこちらもかの有名な戦国武将・真田信繁を輩出した真田家の一族である松代藩三代藩主:真田幸道です。一度輿入れすれば家族に滅多に会えないこの時代、幼い豊姫が嫁ぐ際には一体どんなに両親が恋しかったことでしょう。両親を思い出す縁として、どうしても持っていきたいものがあったのです。
それが、あんずの種でした。
「離れていても、あんずの樹があれば父上、母上と一緒にいられるような気がするのです」
輿入れした豊姫が持ってきたあんずが増えると、夫である幸道は領地である松代に種を植え、家臣にも分け与え、いつしかあんずは松代藩の暮らしを支える産業の一つとなっていきました。
大名の妻であり、江戸で長く過ごした豊姫が初めて松代のあんず畑を訪れた時の思いはどんなものだったでしょう。家族の思い出をよみがえらせてくれる、豊姫の原風景は、今も私たちに受け継がれています。
千曲市のゆるキャラ「あん姫」はこの豊姫をモデルにしているそうです。吸い込まれそうな瞳が印象的なキャラクターですね。http://www.city.chikuma.lg.jp/docs/2013112000019/
※江戸時代、大名は参勤交代という制度の基に領地と江戸を行ったり来たりする生活でした。大名の反乱を防ぐため、家族は江戸に住まわされていました。
果物にまつわる物語、いかがでしたでしょうか?味だけでなく、歴史も味わえるあんずをぜひぜひ食べに来てください!
また、鮮やかな実のオレンジ色も美しいですが、春には花見も大変おすすめです。薄桃色の花が一面に咲く光景は、圧巻!
お花見に大勢の人が訪れる千曲市のあんず祭りでは、あんずスイーツ、あんずジュース、あんずソフト等々、あんずの加工品も売っていますので訪問の際にはお見逃しなく。
今はそのまま食べても美味しい「ハーコット」という種類もありますが、酸味があるのもあんずの特徴。生食の際に酸味がちょっと苦手かも、という甘党の方には、お砂糖をつけて食べることをおすすめします。口の中がキューっとするさわやかな酸味と、砂糖の甘さが絶妙なので、我こそは甘党!という方はぜひお試しください。
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