2019.01.16 [ 林業総合センター ]
広葉樹林の皆伐にも取り組んでいます
長野県林業総合センター 指導部です。
長野県内の森林には、カラマツやヒノキなどの針葉樹人工林が多いのですが、県内民有林の40%にあたる27万5千ヘクタールは広葉樹林となっています。
この多くは、昭和30年代まで私たちの生活に欠くことのできなかった薪や炭などの燃料用として育ててきたものが多かったのですが、時とともに使われなくなり徐々に大きくなってきました。
太くなった広葉樹は、家具や床材として根強い需要があるため、比較的良い値段で取引されることもありますが、使える部分が少ないことなどから、ほとんど利用されてきませんでした。
ところが、燃料価格の高騰や国産資源の有効活用による環境保全への取組みなどで、薪ストーブの需要が高まったこともあり、家具や床板だけのイメージだった広葉樹資源が燃料用としても注目されることで、広葉樹を伐採して利用しようとする動きが出てきました。
しかし、広葉樹林に関しては、建築用材として積極的に使ってこなかったこともあり、どの程度の木材が生産できるのか、生産するためにどの程度のコストが必要なのかはほとんどわかっていません。
県でも、下諏訪町にある下諏訪県有林に、コナラやミズナラなどの床板に使えそうな広葉樹が生育しておりましたので、数年前から調査を進め、今年度に皆伐を実施してみようということになりました。
広葉樹の伐採時期は落葉した後が最適と言う訳で、昨年の12月から伐採が始まり、私たちもどのような方法で、そのように木材が生産されているのかを確認するため、平成30年の年末に調査に入りました。
調査日は、雪が降った翌日ということで、真っ白に染まった森の中で木を伐採する作業と、使える部分を選んでまとめる集材作業が並行して行われていました。
当日、一番気を遣っていたのが、どこで丸太に刻むかという選木。
伐採した広葉樹の大半は曲がっているため、機械的に一定の長さで切断してしまうと、使える部分がほとんどなくなってしまいます。
そこで、伐採された木を並べ、一本一本丁寧に観察しながら、できるだけ曲がっていないところをさがし、床板や家具として使えるかどうか外見で判断しながら切っていきます。
実際に丸太を切ってみると、枯れ枝が巻き込まれていて傷になっていたり、表面からは気づかなかった割れが出てしまうことが多く、なかなか良質の木材には出会えません。
こうした地道な作業を行うことで、山の価値を高めています。
下諏訪県有林での皆伐は、平成31年に入っても作業を続けておりますので、機会を見ながら調査を続け、県内の広葉樹林施業の役に立つ情報をまとめていきたいと考えております。
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