2016.06.17 [ 林業総合センター ]
ササの花の季節になりました
それならば、私も採ってみようかとは思いましたが、この時に見つけたササの実は、10m四方の範囲でしか確認できませんでした。この程度の小さな面積で実ったササを集めてみても、茶碗いっぱいになるとは思えない量です。
その昔、ササの実を食べたとする記録をたどってみると、今回見つけたような小さな面積での開花結実ではなく、とても大きな規模だったようで、昭和20年には富士見町の入笠山のササが1500haにわたって一面に咲いたとか、昭和31年には下伊那から木曽だけでなく岐阜県、愛知県にかけて7万haの規模でササが咲いたとか、とにかく広大な規模でのササが咲いたようです。
これだけ大面積でササが咲いて、ササが実り、食べることが出来るのであれば、ササを食料にと考えても不思議ではありません。民謡の会津磐梯山には、「会津磐梯山は宝の山よ ササに黄金がなり下がる」と唄われており、ササの実が実ることを喜んでいるとも考えられます。
ただし、ササの実を食べるのは人間ばかりではなく、ノネズミにとってもよい食料です。このため、大面積でササが実ると栄養が豊かになったノネズミは、子孫を増やすために大量に繁殖します。しかし、一度ササが咲いてしまうと、その後はササが枯れてしまうため、大量に繁殖したノネズミの子供は食料が失われ、山から里に下りて様々な食料を食い漁ってしまうことになります。
どうもこのことが「ササが咲くと不幸になる」との逸話の根源のようです。
実は私、そういう話を聴いてから、15年以上ササの花を追いかけていますが、残念ながらそういう大規模な開花に出会ったことはなく、これまで見た中でもっとも大きかったのがせいぜい100m四方の規模。
とはいえ、私がササの開花を追いかけ始めてから現在まで、面積は小さいものの毎年ササの開花に出会っており、小面積の開花であれば、広い県内のどこかで毎年ササの開花を見つけることが出来るのだと思います。
見渡す限りのササの開花というのが果たして何時、どこで発生するのかはいまだに全くわかりませんが、ササの花というものは、山を良く探してみれば案外見つかるものだと思っています。
余り目立たないササの花ですが、こんなものも山で探してみませんか。
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