2011.08.05 [ 森林なるほど情報 ]
森林の土砂災害防止機能
<森林の持つ多面的機能って?>
不定期連載のシリーズ第2弾は、森林の持つ様々な「多面的機能」をクローズアップ。
第1回目の「水源かん養機能」に続く今回は、「土砂災害防止機能」についてです。
森林の樹木の根っこや、樹木の下に生える草などは、森林の土壌を押さえてその場に留め、山崩れの発生や森林の外への土砂の流出を防いでいます。
ある研究成果によると、森林から流出する土砂の量は、何もない土地の150分の1という報告があります。
この機能を森林の「崩壊防止機能」と呼んでいます。
また、森林の樹木の幹は、山崩れ、土石流、落石などが発生した場合に、クッションとなって、エネルギーを軽減させます。
この機能を森林の「災害緩衝機能」と呼んでいます。
そして、この両者をあわせてが森林の「土砂災害防止機能」と呼んでいます。
この土砂災害防止機能を発揮させるためには、「間伐」などの森林整備が必要です。
最近、長野県で発生している土砂災害では、森林整備がされていない森林が災害の発生源となったり、発生した土石流を拡大して被害を大きくしたケースが確認されています。
間伐を行うことで、樹木の根っこや幹が発達します。また、森林の中に光が入ることで、下草などが発生します。これにより、樹木の根っこが土を押さえる力や、樹木の幹の土石流などに対する抵抗力が高まるのです。
下の写真は、間伐をした森林(上)と間伐をしていない森林(下)との根っこの発達の違いです。
間伐をしていない森林の根っこは、間伐を行った森林の根っこと比べて細くてひょろひょろです。
また、この写真は間伐をした場合としていない場合の、同年齢の樹木の幹の太さの比較です。
当然、右が間伐をした森林の樹木です。
この写真は、平成18年7月に諏訪地域を中心に発生した豪雨災害での土石流の発生状況です。
森林の樹木の幹は細く、森林の中は暗く、土石流により樹木がなぎ倒された跡が生々しく確認できます。
一方でこの写真は、この災害が発生したときに、上の写真とそれほど離れていない地域で、以前から適切に間伐が行われた森林の状況です。
地面には、土石流が流れた跡が確認できますが、樹木の幹が太く、根っこが発達していたため、多くの樹木が倒れずに土石流の勢いを弱め、幸いにして土石流は森林の中で止まりました。
このように、森林の土砂災害防止機能を高度に発揮させるためには、間伐などの森林整備が重要なのですが、このために、長野県では近年、「災害に強い森林づくり」に取り組んでおり、平成20年には「災害に強い森林づくり指針」を作成しました。
詳しい内容をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。
次回は、森林の保健休養機能に触れたいと思います。
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林務部森林政策課企画係
TEL:026-235-7261
FAX:026-234-0330
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