是より木曽路 遥か彼方の京や江戸を思い、人々が往来した木曽路。 歴史と文化に彩られ、自然豊かな木曽地域の魅力を、当地勤務の県職員が四季折々に発信していきます。 あなたも、木曽に寄っていきませんか?

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動物も人も幸せにいられる居場所…マウカラニゴートファーム(後編)

みなさんこんにちは。商工観光課のWです。

前回は、マウカラニゴートファームに行った様子をご紹介しました。

今回は、店主の三輪亜希子さんへのインタビューをご紹介いたします。

Q1.なぜ牧場をはじめたのですか?牧場を始めるまでは何をしていたのですか?

A1.

名古屋の専門学校にて、得意な英語を使いながら、学生を海外留学に送り出す仕事をしていました。

そんな日々の中、自分もかつて『留学したい』という気持ちを抱いていたことを思い出し、次第にその想いがどんどん大きくなってきました。

35歳のとき、友人がいて馴染みがあったハワイのハワイ大学に留学しました。もともと乗馬をする等、馬が好きだったので、畜産を学ぶことにしました。いろいろな動物を世話する中で、ヤギに出会い、その扱いやすさやちょうどよい大きさ等に惹かれました。ハワイ大を卒業後、インターンで現地のヤギチーズを作る牧場で働きました。実際に働く中で「いつか自分のヤギ牧場を持ちたい」という想いを強く抱き、日本に帰国しました。

(35歳で一念発起!ハワイでヤギ牧場の夢が生まれたのですね!帰国後はどうなったのでしょう?)

日本では、ヤギ牧場を開くなんて無理だろうと思っていました。それでも学んだ分野で働きたかったので、地元大学農学部の事務職の面接を受けました。そこで面接官だった教授に気に入っていただいたようで、事務職ではなく、教授の秘書として雇われることになりました。また、その教授が所属していたプロジェクトの事務局でも働くことになりました。そのプロジェクトの授業はすべて英語だったので、英語の経験が生かされました。

(ふむふむ。英語という武器が、場所が変わっても生かされたのですね。それから?)

ある日、プロジェクトの授業で、将来の夢に辿り着く方法をマッピングして見える化しながら発表するコーチングの講義があって、受講生として出席しました。そこで、ヤギ牧場の夢を、皆の前でプレゼンしました。そこにいた教授をはじめ、仲間たちから共感を得て、これがひとつのきっかけとなり、ヤギ牧場を開く方向へと進むことになりました。

(すごい!思わぬ展開!)

いろいろな人に機会があれば自分の夢を話していました。夢を話すことは怖い事ではありません。ある日専門学校の卒業生が訪ねてきてくれて、言われたことがあります。「『叶う』という字は、口にプラスと書く。プラスのことを口に出して伝えれば、夢は叶うのですね。」と。もちろん自らの行動も必要ですが、本当にそうだと思います。

Q2.どうして南木曽町に来たのですか?

A2.専門学校時代の友人に話をしたら、ちょうどその友人が南木曽町で遊休農園を使った農作業をしており、南木曽町でやってみればと薦めてくれました。

初めて今の牧場の土地を見せてもらったとき、山や空の感じがハワイの牧場に似ていて、ひとめぼれしました。その他にも、実家の名古屋に近いこともあります。

南木曽町に通うようになり、ここでヤギ牧場をつくろうと、地域おこし協力隊に応募しました。

農園主の方にご助言をいただいて、地域おこし協力隊に応募する前から、3年間で何をするか、計画を立てていました。任期中は、ヤギの飼育→チーズ作りの試作→牧場を得る→建物や設備を調達…を、途中の計画変更もありつつ取り組んで、3年の任期終了の数か月後、牧場をスタートすることができました。牧場の土地は南木曽町の方に貸してもらっていますが、町の人はみな優しいです。

Q3.今後やりたいことはなんですか?

A3.(しばらく考えて)お役目を終えたヤギが安心して過ごせるような施設を作りたい。

普通、乳が出なくなったヤギは、業者に引き取ってもらうしかなく、引き取り後にどうなるかは、わかりません。

役目を終えたヤギの面倒をみることは、経費しかかからない…薬代や餌代、お世話する人の人件費や設備も必要で、資金的にかなり余裕がなければできないけれど、いつかそういう施設をつくりたいです。

短期目標としては、ヤギチーズを取り扱うお店が増えてほしいですね。

Q4.どうして「マウカラニ」という名前なのですか?

A4.ハワイ語で「マウカ」は「山の」、「ラニ」は「天国、広い空」という意味があります。

南木曽に来て最初にこの場所を見させてもらった時、木曽は山が迫って空が狭いイメージがあったけれど、ここは、空が広くて、ハワイに似ていた。山があって、広い空があるからが第一の理由です。もうひとつは、動物も人も、幸せに暮らせる居場所、という意味を込めました。紐に繋がれて生きるのではなく、ヤギも自由に心地よく過ごしてほしい。自分で牧場をやるときは、放牧にしようと決めていました。

インタビューを終え、ヤギを見ながら牧場を歩いていた三輪さんが、メーメーと鳴いているヤギに「ジョー!」と呼び掛けていました。ヤギ一頭一頭に名前があり、見分けられるという三輪さん。ヤギを愛する気持ち、大切に想う気持ちが伝わってきました。

自分だけではなく、自分の仕事を支えてくれる存在を大切にし、敬い、心地よくいられる環境を整える姿勢。どんな仕事にも共通する大切なことではないでしょうか。

また、夢を言葉にすることの大切さも教えていただきました。少し勇気はいるけれど、やりたいことを人に話してみると、思いがけない夢が実現するかもしれません。

マウカラニゴートファームでは、ファームツアーなどイベントも行われています。ヤギさんのお仕事に想いを馳せてみてください。希少なチーズも一度ぜひ味わってみてくださいね。

マウカラニゴートファーム https://www.maukalanigoatfarm.com/

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