2016.10.24 [ 南信州の伝統・文化・史跡 ]
~今田人形奉納公演~南信州民俗芸能【2016秋】②
こんにちは、地域政策課のRMです。
南信州は朝晩の冷え込みが感じられ、もうすぐ山々も色づき始めます。
当地は秋も各地で民俗芸能が真っ盛りということで、今回は、飯田市龍江の大宮八幡宮秋季例祭の今田人形奉納公演をご紹介します。
奉納公演は、10月15日の宵祭り、16日の本祭りの2回にわたって行われましたが、私は宵祭りにお邪魔をしました。
辺りがすっかり暗くなった頃に大宮八幡宮に到着。当日は満月の夜で、月明かりと、境内に飾られたろうそくの明かりが、幻想的な雰囲気を醸し出していました。
宵祭りの公演は「ろうそく芝居」と言われ、ろうそくの明かりで舞台を照らす演出で人気だそうです。
公演は午後7時に「戎(えびす)舞」から始まりました。庄屋さんの家にやってきたえびす様が、地域の様々な幸福を祈念してお神酒を飲み、酔ったえびす様は海に出て大きな鯛を釣る、という内容で、家内安全や豊作を願い奉納されるものです。えびす様のユーモラスな動きや太夫の冗談を交えた口上に会場は笑いに包まれました。
続いて、龍江小学校の今田人形クラブの皆さんによる「傾城阿波鳴門 順礼歌の段(けいせいあわのなると じゅんれいうたのだん)」です。
徳島藩のお家騒動に絡んで、阿波の十郎兵衛・お弓の夫婦は主君の盗まれた刀を詮議するため大阪玉造に盗賊銀十郎と名を変え住んでいます。そこへ巡礼姿の娘お鶴がはるばる徳島から父母を尋ねて来ます。お弓は我が子と分かるが、そこで親子の名乗りをしたのでは、我が子にどんな災いが来るとも限らないため、お弓は涙を飲んで別れます。名残惜しげに見送るのだが、ここで別れては今度いつ会えるか分からぬと追いかける、というものです。(説明が長いですね・・・。)
話の中身からして、大人でも表現が難しいように思われましたが、生徒の皆さんは息の合った人形使いで見事に演じていました。特に、お弓(母親)が、親子の名乗りをするかで葛藤する姿を、人形の頭、手、足の細やかな動きで表現しているのに感心しました。
飯田市の龍江地区では、今回発表してくれた今田人形クラブ(小学生)だけでなく、竜峡中学校でもクラブ活動で人形芝居に取り組んでいます。子どもの頃に体験した皆さんが今田人形に入座する流れも生まれており、さらには今田人形座から2名がプロの道(文楽座)へ進んだという実績もあります。伝統芸能の継承に向けた先進的な取組といえます。
公演後半は、今田人形座による「壷坂霊験記 山の段(つぼさかれいげんき やまのだん)」「伊達娘恋緋鹿子 お七火の見櫓の段(だてむすめこいのひがのこ おしちひのみやぐらのだん)」の2演目が続くのですが、筆者は都合により観覧できず。最後まで見た方のお話では、次第に照明が落とされて、最後はろうそくの明かりのみとなり、それは幻想的な公演であったとのこと。 残念・・・。
加えて、昼間の天気の良さにつられて薄着で出かけてしまい、冷え込みが堪えました。まだまだ身体が寒さに慣れていないということでしょうか。次回は防寒対策をして、しっかり時間を確保してお邪魔しようと思います・・・。(~南信州民俗芸能【2016秋】③~へ続く)
【お知らせ】
「第34回伊那人形芝居公演(2016長野県県民芸術祭参加)」
日時:平成28年11月6日(日)10:00~17:00
会場:黒田人形浄瑠璃伝承館(飯田市上郷黒田)
みどころ:今回ご紹介した今田人形のほか、黒田人形(飯田市)、早稲田人形(阿南町)、古田人形(箕輪町)の伊那谷4座の公演のほか、クラブ活動などで人形芝居に取り組む中学生・高校生の公演もあります。入場無料です。是非、ご観覧ください!
お問い合わせ:伊那人形芝居保存協議会事務局(飯田市龍江3710-3 0265-27-2128)
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