2015.07.03 [ 南信州の伝統・文化・史跡 ]
南信州の民俗芸能を継承する官民一体の取組みがスタートしました
地域政策課のTです。
南信州地域には、古より伝承される神楽や盆踊り、人形芝居や農村歌舞伎、獅子舞などの民俗芸能が各地に数多く点在しており、「民俗芸能の宝庫」と呼ばれています。その多くが、豊かでありながら時には厳しい自然環境の中で、その風土や人の営みに根ざした独自の文化として育まれ、先人から脈々と受け継がれて今に至っています。ちなみに、国の重要無形民俗文化財でいえば、県内では9件が指定されていますが、何とそのうち5件が南信州の民俗芸能なんです。
日本の農山村文化の原点とも言えるこれらの民俗芸能は、リニア中央新幹線整備や三遠南信自動車道の開通をも見据える中で、「南信州の誇り」として将来にわたり、守り活かしていくべき貴重な資産です。
南信州の主な民俗芸能
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国重要無形民俗文化財
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遠山の霜月祭(飯田市)
- 雪祭(阿南町)
- 新野の盆踊(阿南町)
- 和合の念仏踊り(阿南町)
- 天龍村の霜月神楽(天龍村)
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長野県無形民俗文化財
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大島山の獅子舞(高森町)
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日吉の御鍬祭り(阿南町)
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清内路の手作り花火(阿智村)
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泰阜村南山の榑木踊り(泰阜村)
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大鹿歌舞伎(大鹿村)
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一方で、社会意識、生活環境の変化や少子高齢化・人口減少により、中山間地におけるコミュニティの弱体化が危惧されています。その結果として、地域に根ざしている民俗芸能も後継者の不在から、存続の危機にあります。昨年、下伊那地方事務所が行った聞き取り調査では、地域差はあるものの、早ければ5年、多くが10年後の存続に不安があるという由々しき状況が明らかになりました。
民俗芸能は、単に芸能である以上に、そこに暮らす方々の「心のよりどころ」であり「誇り」でもあります。つまり、これを継承することが、中山間地のコミュニティの存続のためにも必要であり、南信州地域における地方創生を実現させる上で重要な鍵になるものです。
県を含めて行政はこれまで、民俗芸能について、観光での利活用ばかりに目がいき、肝心な芸能を守ることをあまりしてきませんでした。この反省に立ち、これからは行政の積極的参加による地域を挙げた取組が必要と考えています。
去る7月1日、南信州地域の民俗芸能に関わる多くの方々が集い、官民一体の取組体制として新たに「南信州民俗芸能継承推進協議会」を設立しました。今後は、この協議会が主導する形で南信州地域を挙げて、担い手の育成と未来への継承に取り組んでいきます。
みなさんも、まずは地元のお祭りなどの身近な民俗芸能に目を向けていただき、積極的な参加にご協力ください。
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