2017.12.26 [ 佐久の企業 ]
大豆から作るお豆腐屋さん。白ほたる豆腐店
– 役割分担について詳しく教えてください。
(雄大さん)豆腐屋は男性が豆腐を作り、奥さんがそれを支えるところが多いです。しかし、偶然にも、うちの場合は先に豆腐と出会ったのが女房でした。また、性格的にも、女房は一人黙々と集中するのが好きなタイプです。そのおかげか、私が全体のマネジメントと農業を担当し、女房が豆腐作りを行うといったように棲み分けができています。男性が豆腐を作りに専念していると大豆の自家栽培は難しいと思います。
無農薬・無化学肥料の大豆畑で農作業に勤(いそ)しむ雄大さん
– 大豆栽培に関連して教えてください。国産大豆は貴重といわれますが、理由はどこにあるのでしょう。
(雄大さん)生産量が少ないためです。作ればよいと思うかもしれませんが、採算が合わないのです。カナダ産など国産よりはるかに安い外国産大豆も多く流通しており、価格競争が激しく、大豆の価格自体が安いです。また、最終消費者への販売チャネルを持っている方もいますが、多くの方は仲介業者をはさみます。つまり、大豆の価格も安いうえに、仲介手数料も掛かるのです。大豆栽培だけだとやっていけません。
– そのような実情があるのですね。ところで、ショーケースに並んでいるこの黒い豆腐はなんでしょうか。
(友実さん)「黒ごま入りよせ豆腐」です!原材料はナカセンナリを使用しています。この豆腐は師匠の教えになかった初めての豆腐です。(笑)繰り返しになってしまいますが、2年間師匠の教えを守り、アレンジを加えず製造方法を死守してきました。
基本、豆腐屋は余計なものを入れたがりません。入れてしまうと経験値が狂い、「何もわからなくなる」ためです。ぽつんと佇む小さな豆腐屋には試す暇などありません。
豆腐を求めてきてくださるお客様に応えなければいけないのです。
試行錯誤の末、完成した黒ごま入りよせ豆腐
– そこまでしてこの豆腐を作ろうと思った理由が気になります。
(友実さん)「やってみたい!」と思ってしまったんです。「どこかに豆腐を卸したいね」と主人と相談する中で、真っ先に浮かんだのが「星のや」さんでした。和食でちゃんと豆腐を扱ってくださる「星のや」さんは私の中で、町一番の憧れでした。それまで、営業活動をやったことがありませんでしたが、勇気を振り絞ってアタックし、「星のや嘉助」さんで扱っていただけることになった時は本当に嬉しかったです。
料理長とお話しする中で、「豆腐に色々と混ぜることはできないか」と提案をいただきました。師匠に相談したところ、「固まるわけない」と一刀両断されてしまいましたが、どうしても諦めきれませんでした。どうしても「応えたかった」のです。この提案をきっかけにして、「黒ごま入りよせ豆腐」の開発が始まったのです。
(雄大さん)豆腐屋は大型店の格安商品や後継者不足により10年間で1300件倒産しています。年間を通して、豆腐を販売していくためには軽井沢の「冬」を乗り越えなくてはなりません。卸し先の確保はとても大切なのです。
– 2013年3月10日にオープンしてから月日が経ちました。改めて感じるところや変化について教えてください。
(友実さん)いちばん大事なのは“自分”だということです。
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