林務課です。
第4回目は、「松くい虫被害材を活用した木質ペレットの試作について」です。
1 背 景
松くい虫被害は昭和57年に長野市で確認されてから被害区域が拡大し、現在は信濃町を除く8市町村で発生しています。被害対策については、平成15年度までは全木伐倒駆除で実施してきましたが、それ以降は守るべき松林において被害木の伐倒くん蒸処理を主体に地上散布、特別防除を実施して被害の拡大防止に努めています。
しかし、集落周辺の里山や公園等では伐倒くん蒸でビニール被覆した被害材はそのまま放置されるものが多く、景観的にも課題となっています。そこで搬出が可能な場所の被害木について、新たに木質バイオマスエネルギーとしての有効活用を検討するため木質ペレットを試作しました。
2 取組内容
県と市町村、森林組合等林業関係者の広域的な組織である千曲川下流流域林業活性化センターが調整役となり、長野地域で木質ペレットを製造している長野森林組合が松くい虫被害材で木質ペレットを試作しました。
なお、松くい虫被害材の取り扱いについては、被害が拡大しないように採取地域、伐採、保管及び被害材の移動時期等に十分留意するよう注意しながら、破砕、運搬作業に参加して事業化の可能性を調査確認しました。
また、現在、長野森林組合が生産販売しているカラマツ製の木質ペレットと比較するため日本エネルギー学会に成分分析を依頼しました。
3 結 果
千曲川下流流域林業活性化センター、長野森林組合及び長野市の協力により松くい虫被害材100%による木質ペレットの試作することができました。
日本エネルギー学会の成分分析では、カラマツの木質ペレットとそん色ない品質であるとの結果であり、十分に利用が可能であることが分かりました。
4 課題と今後の対応
(1)コストの検討
松くい虫被害木の伐倒、集材、破砕、粉砕、成形の生産工程の検討と詳
細な生産コストの調査を行っていきます。
(2)利用者のモニタリング調査の実施
ペレットストーブ利用者や大量に使用する温泉ボイラー等で製品を使用
していただいて、モニタリング調査を行い、課題等を洗い出して改善す
るとともに製品のPRと利用拡大に努めていきます。
(3)体制づくりの検討
地域の総合的な木質バイオマスエネルギー利用状況に配慮しながら、松
くい虫被害材の木質ペレットの製作に向けて市町村、森林組合等と体制
づくりを検討していきます。
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