「善光寺の近くに、なんか面白いお店ができたらしい」
ある日、そんな噂を耳にしました。
「やってこ!シンカイ」という、すこし変わったその店名を検索すると、『お店2.0』、『ローカルの関係人口を全国に増やす』など、気になるワードがどんどん出てきました。
どんなお店なのか、店長さんに直接聞いてみよう!ということで、ちょうど職場に来ていたインターンの学生さん2名と一緒に、店長のナカノ ヒトミさんにインタビューしてきました!
店長のナカノ ヒトミさん
-はじめに、Webサイトにあった『お店2.0』という言葉の意味も含めて、お店についてご紹介いただけますか?
はい。『〇〇2.0』というフレーズは、「既存のモノやコトのアップデート版」という意味で、最近色々な場所で使われていると思います。当店における『お店2.0』の意味は、ひとことで言えば、「これまでの小売業の収益方法から、一歩先のステージに進んだお店」でしょうか。
当店のことを強く応援してくれる皆さんに、特典付きの月額会員になっていただき、その方々とお店づくりを行いながら運営していくことを目指しています。
古いけど新しい、味のあるお店です
-音楽や動画配信で「サブスクリプション制」という運営方法が流行していますが、そのイメージですね。会員の方には、どんな特典があるのでしょうか?
当店で開催されるイベントへの参加料が無料になったり、企画会議に参加できたり、仕事場所としてここを使っていただけたり・・・。実際のところ、どんな形がベストなのか、現在も実験中という感じです。この仕組みが多くの方に届くように、今後も発信していきたいと思っています。
-では、このやってこ!シンカイが、どのようにして誕生したのか教えてください。
建物を見てもらえばわかる通り、ここは元々「シンカイ金物店」という金物屋さんでした。お店が閉店して数年間は空き家の状態だったのですが、2011年頃、信州大学に通っていた学生3人がここを借りて、シェアハウスを始めたんです。そして2018年、そのメンバーの一人である小林 隆史(こばやし たかし)さんと、株式会社Huuuuの代表である徳谷 柿次郎(とくたに かきじろう)さんが意気投合し、ここにお店を開くプロジェクトがスタートしました。
-ナカノさんは、どういう経緯でこのお店に携わることになったのですか?
私自身、例えば古着屋さんのようなお店をやることに、以前から興味がありました。そして、以前から一緒に仕事をしていた柿次郎さんから見て、私にお店を運営していく適性がありそうだということで、誘っていただきました。
-ナカノさんの経歴についても、教えてください。
はい。私は大学を卒業後、上田市の株式会社 地元カンパニー様に就職しました。当初は、営業や広報など幅広く業務を担当していましたが、長野県へのU・Iターンに特化したWEBメディアを作った頃から、ライターという肩書で、文章を書く仕事をさせていただくようになりました。
-現在は、フリーライターとしてお仕事をされていますよね。独立するきっかけはあったのでしょうか?
当時の会社では多くの経験をさせていただきましたが、そこでできない仕事・経験もしてみたいという思いが徐々に強くなりました。そして独立を迷っていた頃、仕事で、自分の父を取材したんです。インタビューの最後、独立を相談したときの父の優しいまなざしは今でも鮮明に覚えています。自分で人生を切り開いてきた父のすごさを再認識し、その姿に背中を押されたという意味で、あのインタビューがひとつのきっかけだったと言えるかもしれません。
「わたしのパパはヨガきこり」(https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/nakano03)
-お店をオープンするにあたって、クラウドファンディングを利用されたそうですね。
はい。たいへん多くの方に応援していただき、目標金額が100万円だったところ、支援総額は300万円を超えました。リターンは、やってこ!シンカイのオリジナルTシャツなどをお送りしたり、特に強くご支援いただいた皆様には、長野市を満喫してもらう「おもてなしツアー」を提供する予定で準備を進めています。多くの方に、喜んでいただけたら嬉しいですね。
ナカノさんが着ているのが、オリジナルTシャツです
-お店に並んでいる商品は、どのようにして選んでいるのでしょうか?
現在並んでいる商品は、柿次郎さんと繋がりのある方々の商品が多いですね。
長野市の株式会社タイコーさんが製造している「amitabi」は、履いていて気持ちがいい、足袋型の靴下です。タイコーさんは70年近くOEMで靴下の製造を行ってきた会社ですが、長年培ってきた技術を活かし、自社製品として「amitabi」を開発しました。現在はやってこ!シンカイのみで販売しているので、ぜひお店に来て手触りを確かめていただきたいです。
グラフィックデザイナーの橋本 太郎(はしもと たろう)さんにデザインしていただいた、やってこ!シンカイのオリジナルTシャツも、ここでしか買えませんのでおすすめです。
株式会社タイコー amitabi
-「やってこ!シンカイ」では、イベントもたくさん開催されていますよね。これまでに反響が大きかったイベントを教えてください。
7月に、東京で洋服を作っている「ALLYOURS」、東御市でパン屋さんを営んでいる「わざわざ」、福岡で洋服や雑貨を販売しているお店「うなぎの寝床」、それぞれの代表の方にお越しいただき、柿次郎さんと「発信 or DIE」と題したトークイベントを行いました。
イベント名のとおり「発信しなければ、死ぬ。いかに自分たちの情報を届けるか」というテーマのもと、SNSを使った情報発信に長けた皆さんに、お話をしていただきました。各ブランドのファンの方にもお越しいただき、なかなか盛り上がりましたね。
-面白そうなイベントですね。他にもありますか?
つい最近、スタッフの藤原の発案で開催した、「信州カレー解体新書」というイベントは面白かったですね。長野駅近くにあるカレー屋さん「spice&herb AYA CURRY」の店長さんをお招きし、カレー屋さんになった経緯や、スパイスの特徴などを聞かせていただきました。お話の後も、参加した皆さんでテーブルを囲んで、各々の好きなカレーについて語り合っていましたね。
-斬新なイベントですね!AYA CURRYさんのカレーが、ここで食べられたんですか?
そこが面白いのですが、あくまでカレーについて語るイベントであって、食べるイベントではないので、当日はカレーの提供は無かったんですよ(笑)。それでも、スパイスの香りを嗅ぎ分けるワークショップなどを、皆さん楽しまれていました。皆さんのカレーに対する情熱が、ものすごかったことが印象的です。
気になる商品しかないディスプレイ
-この辺りはご高齢の方のお宅が多いように思いますが、周りの反応はいかがですか?
ありがたいことに、肯定的に受け入れてくださっている方が多いです。「なんだかよく分からないけど、賑やかで楽しそうなお店ができたね~」と、お店の前で立ち止まって声をかけてくださったり、暑いからと梅干しを差し入れてくださったりします。そんな風に接していただけるのも、前にここに住んでいた小林 隆史さんが近隣の方々と良好な関係を築いていたからこそだと思います。この関係性は、大切に守っていきたいですね。
-最後に、やってこ!シンカイの今後について、何か計画していることがあれば教えてください!
「もっと、常に人がいる状態にしたい」という話は、スタッフの間でしています。週末はイベントを開催したり、善光寺に来る観光客の方も立ち寄ってくださるので賑わうことが多いですが、平日の営業日は比較的静かな時間も多いので。それこそ、近くにお住いのお年寄りや、信州大学や長野県立大学の学生が集まる場所になったら面白いですよね。やってこ!シンカイを通して多くの人たちが出会い、新しい何かが生まれてくれれば嬉しいです。
-今日はありがとうございました!
お店の魅力が伝わるようにと文章を書いてきましたが、今回のやってこ!シンカイさんは、実際に訪れてこそ本当の魅力が分かる場所だと思います。並んでいる商品や企画しているイベントのセンスがすごいんです。みなさんもぜひ、足を運んでみてください!
同行したインターンの学生から、こんな感想をいただきました。
・「新しくお店を開いて、昔からある地域のコミュニティに入っていくのはハードルが高いことだと思うけれど、ナカノさんの人柄や気さくな雰囲気もあって、とても地域に馴染んだお店だと感じました」
・「ナカノさんの生き方、仕事観に感銘を受けました。リノベーションをした金物店でセレクトショップを開くと、こんなにおしゃれなお店になることに驚きです。地域の人が交わる場にしたいというコンセプトも、とても素敵だと思いました」
ナカノさんは、インタビューから学生2人の進路相談まで、すべて丁寧に答えてくださいました。本当にありがとうございました!
長野市三輪7-8-5
営業曜日:木曜日〜日曜日
営業時間:12時〜18時(イベントがあれば夜も営業)
定休日:月曜日〜水曜日(イベントがあれば営業)
Facebook:https://www.facebook.com/shinkai.nagano.785/
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