県産材利用推進室のCです。
去年の秋、ある企業の社長さんから「新しいオフィスをオープンするから、長野県の木にこだわった内装やデスクにしたいんだよね。プロに頼むとコストが掛かるのですべてDIYでやりたくて・・・。誰にどのように頼めばいいかな?」と、相談を持ちかけられました。場所は長野市。
「え!そんなニーズあるんだ?」という驚きとともに、さて、DIYといえば品揃え豊富なホームセンターだけど、そこにある木材は外材・国産材含め様々な産地のものばかり。「長野県の木」にこだわるとなると少しハードルが上がるため、「少し時間ください!」ということで色々考えてみました。
ホームセンターは品揃えが命。県産材の床板を置いているお店もありますが、各部材の仕入れは、供給量や価格の優位性で決められるため、小規模な製材工場が多い県内の製品がホームセンターの棚に並ぶことはほとんどありません。
じゃあ製材工場と直接交渉してみるか。でも、大体の設計寸法や量を計算しないといけないし、施工方法も含め、DIY向けにそんな仕事まで製材工場はやってくれません。そうしたら冒頭の社長さん、「そういうことまですべて相談に乗ってくれるような人、いないもんかねえ。とりあえず2m×8mの大机だけでもいいから。2週間くらいで。ちなみにオレ、DIYも初心者なんだけど」。
ちょっと待って、2m×8mの大机??そんなDIY聞いたことない。しかも2週間の工期ってあり得ない!誰も受けてくれないよ…とあきらめかけたその時、ある人の顔が浮かびました。
木平英一(このひら えいいち)さん。私と同じ伊那市の人で、これまでも山や薪のことなど仕事・プライベートでお付き合いがありましたが、この話の少し前に、地元の木でDIY材を作って販売するという興味深い会社「合同会社ラーチアンドパイン」を立ち上げたところでした。
すぐさま木平さんに連絡し「何とかならないですか?」と様子を伺うと、「考えてる時間ほとんど無いけど(笑)、やってみましょう!」という嬉しいお返事。
結果、木平さん連携の地元製材工場から県産アカマツの床板とツーバイ材の在庫を調達し、それで1.8m×0.9mの天板を作製、脚を4本付けてテーブルにすることになりました。この机を4つ作製して合わせれば、1.8m×3.6mの大机になります。これらの材料を長野市まで運んで、冒頭の社長さんがDIYで作ります。このアイデア、連絡した翌日に決まりました。
その翌々日の日曜日、「テーブル試作するから来ない?」と木平さんからのお誘い。1.8m×0.9mのDIYテーブル、大人二人で1時間半程で仕上げました。これがまたなかなかの出来栄え。寸法や作り方の手順を整理して、翌週末には長野市へ材料が運搬され、その日のうちに冒頭の社長さんのDIYによる大机が完成しました。最初の相談から10日間の早ワザ。
ツーバイ材でフレームを作り、その上に天板用の板を貼り合わせます。
試作品の出来上がり!これはすべて伊那のアカマツです。
あれから半年が過ぎました。
「おかげ様で木と緑に囲まれたすごく良いオフィスができたよ!寄って行ってよ」と、冒頭の社長さんからのお誘いもあり、覗かせていただきました。
すると…なんということでしょう。
床(敷いただけ)から窓枠、本棚、プランターカバー、ベンチ、研修用机まで、すべてDIYで作られているではありませんか。おまけに観葉植物も県内の苗木業者さんから取り寄せるといったこだわりよう。
「あの後DIYにハマっちゃって…。木平さんに追加の材料を運んでもらい、大工道具も揃えて、ここまでになったよ。素人仕事だけど県内の材料でここまでできたってのが大満足だね」と社長さん。あの大机も見事な存在感でスタッフの皆さんに使われています。
「この事務所を県産材のショールームにしたいから、どんどんPRしてね」と言っていただきました。ありがとうございます!
存在感のある大机
通路スペース
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
林務部 森林政策課
TEL:026-235-7261
FAX:026-234-0330