商工観光課 伝統工芸品担当のSです。
管内の伝統工芸品やクラフト産業を不定期に紹介する第6弾は、松本市の「浜染工房」です。
今回は全国でも数少ない「藍の型染め」を百年以上継承している3代目の浜 完治さんにお話しを聞くことができました。
藍染の染料となる藍には植物染料と化学藍があるのを、ご存じでしょうか?化学藍が普及し、植物染料が衰退する中で「浜染工房」は植物染料にこだわり、創業からの技術を受け継いできました。「浜染工房」では、北海道で栽培された蓼藍(たであい)の葉を発酵させて作る「蒅(すくも)」や「藍玉(あいだま)」を使用しています。土間に埋めた甕に蒅や藍玉と木灰、ふすま、水を加え撹拌し、加熱することで発酵を促します。
県内で唯一となる「藍の型染め」は和紙を柿渋で張り合わせた渋紙を、小刀を使って模様を切り抜いていきます。全国的にみると昔は分業制で型紙を作る職人がいたようですが、浜さんは型紙作りから全て一人で行っています。模様が切り抜かれた型紙に紗貼りと言って、細かい網を貼り付けて補強します。型紙の大きさは反物の幅に合わせたサイズで、長さは模様に合わせて様々です。
絹や木綿などの反物を板に張り付けて型紙を置き、ヘラで糊を刷り込んでいきます。糊の入った部分は藍で染色しても生地の色が残ります。糊はもち米と石灰、糖で作り、反物の素材や模様に合わせて糊の粘り気を調整するのは、長年の経験が必要です。糊を乾燥させて豆汁(ごじる)を塗ってから藍に浸します。反物を引き上げると緑色していますが、空気に触れて酸化すると藍色に変化します。それを繰り返して染まり具合を調整します。その後、水洗いと色止めをして乾燥させます。
2021年に工場兼自宅の向かいに「藍のかおり工房」がオープンしました。ストールやテーブルセンター、タペストリーなどの展示品の販売とハンカチやトートバックなどの藍染体験(完全予約制)を行ってます。作品一つ一つが手染めで、藍色も薄い藍から深い藍までバリエーションが豊富なので、見るだけでも楽しくなります。
次世代へ藍染の技法を伝えようと、浜さんは新しい作品作りに情熱をかたむけています。県内で駆除された鹿の皮を、株式会社メルセンの協力のもと鹿革になめして「藍の型染め」を施した「逢初レザー」を製作しています。その革で財布やペンケースなど革小物を「GrooverLeather」で作製してもらってます。
浜さんはこれまでも数々の作品を美術展等に出品し、賞を受賞していますが、このたび、2023年第48回全国伝統的工芸品公募展において、応募総数235点の中から入賞14作品に選ばれ、「全国中小企業団体中央会会長賞」を受賞されました。
おめでとうございます ‼
身近に全国でも数少ない「藍の型染め」の職人さんがいらっしゃいますので、その作品を身近で見る機会を持ってはいかがでしょうか? 1月17日(水曜)~1月23日(火曜)に井上百貨店本店7階大ホールで開催される「第39回長野県伝統工芸品展」に出品する予定です。他にも技術の一端を体験できるワークショップや職人による製作実演があり、匠の技を味わうことができます。
藍のかおり工房
〒390-0828 松本市庄内2-5-1
090-4715-1250
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日/第2、第4水曜日
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