い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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七草咲く穂屋祭の頃【井月さんのこころ24】

井月さんのこころ シリーズ その24
 酷暑・渇水の夏も先週末の雨で一息つくことができましたね。
 いつの間にか秋風が涼しく吹き渡り、芒の穂がいっせいに靡く季節になりました。

 秋の七草は、
 萩、芒、葛、瞿麦(なでしこ)、姫部思(をみなへし) 、藤袴、 朝貌。
 前々回(その22)の記事で「盆花」として載せたのは、「あおばな」、すなわち泡花とも呼ばれる黄色の「おみなえし」ですが、万葉集には14首ほど詠まれているのだそうです。
 ただ、万葉集の原文表記には「女郎花」はないのだそうで、「娘子部四」「姫部思」「乎美奈弊之」などといった表記になっているとのことです。

 萩や葛の花も紅紫色に咲き始めました。
  写真:萩の花 8月27日 伊那部宿にて



  写真:葛の花 8月27日 春日公園にて

 井月さんも、そんな色とりどりの七草を愛でながら秋の伊那路を歩き回っていたのでしょうか。

 朝顔の命は其日其日かな   井月

 娘へし水よき里の育ちかな   井月

 杖かしてやりたき萩の盛りかな  井月
 
 以下、後者の句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、

 萩は潅木であるが、草に似て直立せず、花期には咲き垂れて地を掃く。そこで杖を貸してやりたいと。初秋のころ紅紫色の可憐な花を開き、中秋ころ散りこぼれる。「はぎの花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝がほの花  山上憶良」万葉集収録の、秋の野の七種の花を数え詠んだ歌。昔から親しまれた花。「ちり初てしきりに萩の盛かな 井月」
 (萩・秋)

 なお、この万葉集にでてくる「朝貌(あさがほ)」については、現代の朝顔のことではなくて、桔梗(ききょう)の花を指すのだそうです。

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