2013.09.26 [ 佐久のいい景色 ]
歴史的農業施設シリーズ6~佐久市香坂の「香坂ダム」を訪ねて~
親子の会話
子「お父さん、佐久にダムがあると知ってきたけど、ここのダムは水が溜まってないよ。」
父「そうだね。空っぽだよね。」
子「じゃあ。壊れているの?」
父「壊れているようには見えないけどね。草や木が茂ってるけど大きいダムだね。」
子「水をためないダムなんてあるの?」
では、農地整備課の「SKT46」が解説しましょう
ダムの目的は、河川に流れる水を溜めて、農業や水道、工業、発電などの用水に利用する利水ダムと、豪雨の時に河川の洪水を一時的に貯留して、徐々に放流する治水ダムがあります。
親子が見ていたのは、佐久市香坂にある「香坂ダム」で、このダムは洪水調節を目的とした治水専用のダムです。
大雨が降った時に威力を発揮します。
なぜ、農地整備課が紹介するのでしょうか?
現在、佐久市がダム管理していますが、築造したのは長野県農政部だからです。
ところで皆さんは、ダムとため池の違いがわかりますか?
一般的には、大きくても小さくても「ダム」「ため池」「池」「沼」などと、昔からの地域の愛称で呼んでいると思います。
土木技術的な基準では、堤体(堤防のこと)の高さによって分けていて、高さ(堤高)が15m以上を「ダム」、15m未満を「ため池」としていますが、あまり明確にされてはいません。
では、「香坂ダム」を紹介しましょう。
ダムは、佐久市香坂の閼伽流山の東、妙義荒船林道へ向かう県道沿いにあります。
昭和44年度から49年度の6ヶ年をかけて建設しています。歴史的農業施設ではないと思いますが、
「県内唯一の河川締切の農地防災ダム」だからです。
「香坂ダム」の規模は、堤高38.5m、堤長(堤防の長さ)184mで、ダム型式は、中央コア型ロックフィルダムです。
堤体の中央に水を通しにくい不透水層(コア)を立上げ、その上下流に土砂材その外側に岩材を厚く築立している型式ですから、中央コア型ロックフィルダムと呼びます。
堤体の表面は、降雨によって流れ出さないように大きな岩(リップラップ)に覆われています。
管理塔がありますね。このダムは、管理塔の下部の壁に流入口があり、ここからダムの下を流れて下流側河川に放流されています。
流入口は常に開放されているので、通常は河川水がそのままストレートに下流に流れますが、豪雨になると通過できない洪水がダムに徐々に貯留されていきます。
そして洪水が治まると開放されている流入口から、ゆっくりと時間をかけて洪水が自然に放流されます。
このように下流側で河川が溢れないように洪水量を調整しているわけです。
このダムに一時的に貯留できる洪水量(洪水調節容量)は87万トンです。東京ドームの0.7杯分に相当します。これ以上に多くの洪水が流れてきた場合には、洪水吐から流下してダムが壊れないようにしています。
だから、このダムは空っぽでも壊れているのではありませんよ。
全国各地で発生しているゲリラ豪雨から地域を守るために常にスタンバイしているのです。
<その後>
9月16日に台風18号が通過しましたね。佐久地域でも、千曲川の水位が危険水位を超えました。
あの「香坂ダム」はどうなっているのでしょうか。20日に行ってきました。
2枚目の写真と比べると、堤体の草の3分の2位まで水位が上がった跡がわかります。
管理塔の周辺も流木がありますが、徐々に洪水が流下しています。
ちょっとひと休み
鴨は休んでいましたが、香坂ダムは台風18号では働いていましたね。
香坂ダムの場所
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