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村の木で「花」を咲かせる取り組み「NPO法人 村産材を使う会」(北相木村)

村の面積の9割が山林という、自然豊かな北相木村。

村のカラマツ材を利用して、新たな産業を創れないか、模索し続けているのが「NPO法人 村産材を使う会」です。

今回は、事務局である北相木村役場の 坂本 皓太(さかもと こうた)さんにお話を伺いながら、村の女性のみなさまがウッドフラワー(キノハナ)を製作する様子を見学させていただきました。

それぞれお気に入りのキノハナを持った、「村産材を使う会」の「キノハナ」製作メンバーの皆様。右が坂本さん。

 

はじめに、「村産材を使う会」設立の趣旨について教えてください。

背景となっているのが、地元のカラマツ木材を有効に利用できていない現状です。北相木村の山林の7割はカラマツの木にも関わらず、カラマツ材は流通量が少なく、地元の大工や建具職人が使うカラマツ材は非常に高価なものになってしまいます。なぜ自分たちの周りに当たり前のようにある木(カラマツ)がこんなに手に入らないのだろうかと疑問に感じたのがきっかけでした。だったら、自分たちで地元のカラマツを伐採して使えばいいのではないかというのが、「村産材を使う会」の設立趣旨です。

林業、大工、建具職人、役場職員という木材に関わる様々なメンバーが集まり、3年前に5名で立ち上げました。

 

有効利用できていなかったということですが、地元のカラマツ木材はどのように使われていたのでしょうか?

これまでは、合板(ベニヤ板)に使われることがほとんどでした。建築材や家具に使われる木材は品質の良いA材やS材というランクのものですが、そういった需要をあまり開拓してこなかったため、北相木で採れた木材は、良い材も悪い材もみな合板に持っていくというような状態が多くなっていました。合板用に木材を売る方が効率は良いと思いますが、せっかく何十年もかけてカラマツを育ててきて、良質なカラマツがあるのだから合板に使うだけではもったいないと思い、良材の利用方法を広げているところです。また、北相木は小さな村で、山林面積や木材の量が他地域より少ないため、付加価値をつけて材一本一本の価値を上げていかないと、生き残っていけないと思っています。北相木村には良質なカラマツがあるので可能性があると信じています。

北相木村の山林。7割ほどがカラマツの木が占めます。(画像は村産材を使う会HPより)

 

北相木村で採れるカラマツの、強みや特徴を教えてください。

まずは、赤みが強いことですね。木材には、木の内側にあたる、赤くて硬い芯の部分である「赤身(あかみ)」と、外側の白い部分「白太(しらた)」があります。北相木産のカラマツは、特に白太が狭く、赤身部分がとても広いため、美しい赤みを帯びた木材になります。また、通常の木は先端に行くほど細くなっていくものですが、北相木のカラマツは細りが少なく、根元から先端まで木の太さがあまり変わりません。さらに、寒い地域であるため、木目が詰まった狂いにくいカラマツが育つという特徴があります。

現在、「産地の分かるカラマツ材」として、北相木村産カラマツを使った住宅を、設計士とコラボして進めさせていただいています。設計士に北相木村のカラマツの原木を見ていただくと、「このカラマツは建築材としてトップレベル」だと評価していただくことが多くあり、住宅の建築材としての注文が少しずつ増えています。

カラマツの切り株。木目がぎっしり詰まっており、赤みを帯びています。(画像は 北相木村 より)

 

逆に、カラマツを使う上で大変だったことなどはありますか?

 大変だったのは乾燥方法ですね。通常、カラマツを家具にする際は、木材の含水率を10%以下に落とすのが基本です。しかし、当初は家具用のカラマツ材の乾燥について詳しいメンバーがおらず、含水率20%ほどで使っていました。その結果、作った家具の木材が水を含みすぎていて、どんどん反ったり、割れたりするという問題が発生してしまいました。メンバーにいた大工や建具職人も、いつもは仕上がった木材を使っていたため、この工程については詳しくなかったのです。現在ではノウハウも蓄積し、含水率はもちろん厚みや幅なども細かく指定して使っています。

 

「村産材を使う会」では、現在どのような活動をされているか教えてください。

大きく分けると4種類の活動があります。

 一つ目が森林整備です。村には現在、林業事業体が無いこともあり、村から仕事を出してもらいながら森林整備と登山道整備等を実施しています。二つ目が木工です。家具、建具、階段の踏み板、フローリング、内装など、様々な木工製品を作っています。三つ目が人材育成です。森林体験や林業体験インターンシップ、研修などを行っており、「村産材を使う会」メンバー自身の育成も兼ねています。そして四つ目が、木材の“かんなくず”を利用して作る花、「キノハナ」の製作活動です。「キノハナ」製作は、村の女性たちを中心に活動しています。

「キノハナ」のボックス。一見しただけだと本物の花のように見えます。

 

かんなくずを利用して作る「キノハナ」とは、どのようにして生まれたのでしょうか?

きっかけは、私が村の木工所に行った際、「いい着火剤になる」ということでかんなくずをもらったことでした。かんなくずを家に持って帰ると、とても良い木の香りがして、見た目も綺麗だったため、何か使えないかと考えるようになったのが始まりです。いろいろと模索する中で花っぽいものが作れたため、村の女性に声をかけてキノハナづくりにチャレンジし始めました。キノハナづくりに取り組み始めて2年ほどになりますが、たくさんの人の協力をいただいて、最初に私が作ったキノハナとは比べ物にならない綺麗で完成度の高いキノハナが出来上がりました。村にはすごい人がたくさん潜んでいるなと感じています。

私が村の女性たちに声をかけた理由として、もともと北相木村にはあまり産業がなく、女性が働ける場所が少ないと感じていました。女性たちが、汚くて大変な仕事ではなく、むしろ綺麗で楽しく働けるような場所をつくれたらと思い、キノハナ製作活動を立ち上げました。徐々に協力いただける方も増え、今のメンバーが集まりました。

キノハナの材料となるかんなくず。様々な色や質感を出すため、複数種類の木材を使用します。

キノハナ製作風景。村の女性たちが、定期的に集まって作業します。

 

着火剤としてもらったかんなくずから、手探りでこの完成度まで行きついたのですね!

はい。また、キノハナの品質向上に大きく影響したのが、お花屋さんで働いている方がキノハナの活動に興味を持ち、個人的に関わっていただけるようになったことです。フラワーアレンジメントの講師資格などを持っている方で、プロの視点からデザインや販売方法を指導していただけるようになりました。そのため、昨年9月からは、キノハナのボックスや花束の制作ができるようになりました。

キノハナの花束。枯れることのない花束を贈り物にいかがでしょうか。

 

キノハナを作る上での工夫やこだわりを教えてください。

一番は、木の良さを伝えたいという思いでやっています。加工のしやすいヒノキからは“バラ”を作り、割きやすいカラマツからは“カーネーション”を作るなど、木の特性を生かした花づくりをしています。また、木によってかんなくずの色も異なることを利用し、木を使い分けることで濃淡を表現しています。最近の取り組みは、木から抽出した天然アロマを、キノハナに付け加えています。きっかけとなったのは、都内のイベントにキノハナを出展した際、お客様から「きれいだけどあまり木の香りはしないね」と言われたことでした。かんなくずの時点ではふくよかな木の香りがしても、時間が経ったキノハナでは香りが薄らいでしまうためです。都内では、花の香りを感じることはあっても、木の香りを感じる機会はあまりないのではないかと思い、木の香りも含めて楽しんでいただきたいと思っています。とことん「木の良さ」を伝えていきたいです。

製作中のボックス。キノハナに水を霧吹きすると、木の香りがふわりと広がることを教えていただきました。

「バラを作る際のこだわりは、花びらを華やかに広げることです」とのとこと。メンバーそれぞれこだわりがあります。

 

キノハナはどのように販売されているのですか?

現在、店舗で販売していただいている場所はありませんが、テレビ番組などに取り上げていただいたこともあり、ある程度途切れなくご注文をいただいています。主な用途としては、新築祝いや、結婚式のお祝い、卒業式・卒園式の贈り物、退職者への贈り物などプレゼントにご利用いただくことが多いです。ホテルの部屋のインテリアとしてもご利用いただいています。また、4月25日から松本市などで開催されている「信州花フェスタ2019」とコラボさせていただいています。是非、花フェスタに足を運んでいただきキノハナをご覧ください。

 

最後に、今後の展望などを教えてください。

まずは、村産材を使う会の本来の活動として、北相木村に良いカラマツがあるということは継続してPRしていきたいです。北相木村カラマツのブランドが作れればいいなと思っています。

キノハナについては、まずは店舗に置いていただくなど定期的に売る方法を確立していきたいです。現在、材木屋さんとコラボして、北相木村のカラマツを一定以上使って住宅を建てると、キノハナをプレゼントするというキャンペーンを行っています。このような、安定的にキノハナが売れる仕組みを整備して、ゆくゆくは、キノハナ作りを北相木村の大きな産業になるように育てていきたいと思います。

 

今日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。

 

北相木村の優れたカラマツ木材を、自分たちで有効活用したいという思いから始まった「村産材を使う会」。その活動は、木材関係者の活動という枠を超え、村の女性たちを巻き込んだ新たな特産品作りにまで広がっています。

北相木村の「キタモク」や「キノハナ」が、地域を代表するブランドとして語られる日も、そう遠くないかもしれません。

 

連絡先
NPO法人 村産材を使う会(事務局 北相木村役場)

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