ほっと9(ナイン)ながの 長野で働くスタッフが、長野地域の9つ(ナイン)の市町村の「ホット」な魅力をご紹介!(長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、飯綱町、小川村) 私たちの日々の仕事の話、「ほっと」一息つける癒しの裏話、きっと役に立つ暮らしの豆知識、おすすめ絶品グルメ…などなど、ここでしか出会えない”ながの”のすがたをお見逃しなく!(旧「ほっとスタッフブログながの」)(写真:信濃町 黒姫山))

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現代の北斎よ、小布施に集え。「HOUSE HOKUSAI」(いいね!インタビュー⑫)

いま、小布施町がとてもアツいです
以前から観光地として人気ですが、最近は学生や若い起業家が定期的に集まり、ワクワクするような新しいアイデアが生まれる場所としても注目されています。
そんな小布施町に今年の4月、「HOUSE HOKUSAI」というコワーキングスペースがオープンしました。
クリエイターの集まる場所づくりを目指して活動している、代表の塩澤 耕平(しおざわ こうへい)さんにインタビューしてきました!

代表の塩澤 耕平さん

代表の塩澤 耕平さん

-まずは、塩澤さんの経歴を教えてください。

地元は、長野県の駒ケ根市です。大学を卒業して(株)NTTデータに入社し、医療系の業務を担当しました。3年間勤めた後に退職し、武藤 真祐(むとう しんすけ)さんという医師の方が東日本大震災の後に宮城県石巻市で支店を立ち上げた「祐ホームクリニック」という在宅診療所で働きました。

-どうして、宮城県に行くことを選んだのですか?

(株)NTTデータという大きな会社の中で3年間、医療の仕事に携わるうちに、もっと現場に近いところで働きたいという思いが強くなっていました。そんな頃、武藤さんにお会いしたことがきっかけです。被災地の復興に携わりたいという気持ちも当然ありましたが、医療とマネジメント(=経営)の両方を実践している武藤さんがとても魅力的な方で、彼らと一緒に働きたいという気持ちが強く、転職することを決めました。

-その後は、どんな活動をしていたのでしょうか。

最初の3年間は石巻市で活動して、新規事業の立ち上げや、ハーバード大学ビジネススクールの学生が女川町を訪問した際のアテンドなどを経験させていだきました。
石巻市で活動した後は、武藤さんがシンガポールで立ち上げた医療系ITベンチャー企業のお手伝いをしたり、遠隔医療のベンチャー企業「インテグリティ・ヘルスケア」の立ち上げに携わったりしました。まさにここで、新しい会社をつくるという経験・勉強をさせていただきました。
その後1年間の準備期間を経て、2018年4月にHOUSE HOKUSAIをオープンしました。

この場所で、イベント等も開催できます。

この場所で、イベント等も開催できます。

-そんなHOUSE HOKUSAIの特徴は、どんなところでしょうか。

2階に町が運営する簡易宿所があるため、仕事をしながらここに滞在していただけることが大きな特徴です。それに加えて、数人のコーディネーターがいますので、事業について一緒に考えたり、クリエイター同士の繋がりを作ったりすることが可能です
都会から距離がある分、ここまで足を運んでくれる方には本気のクリエイターが多くなりますよね。この地域の良いところを上手くアピールできれば、ここで働く意味・魅力を見出してもらいやすいのではないかと思います。

-ご自身で、コワーキングスペースを始めようと考えたのはいつ頃だったのでしょうか。

2017年、大宮 透(おおみや とおる)さんのお誘いで参加した小布施若者会議のテーマの一つが、「クリエイターが集まる場所づくり」でした。同じチームの方々と計画を立てる中で、誰かがこのアイデアを形にしないといけないと思い、自分がやってみようと思うようになりました。

-小布施若者会議がターニングポイントだったのですね。そこに参加していなかったら、他の場所で事業を始めていた可能性も・・・?

あると思います。ただ、自分が生まれた長野県で地域のために何かしたい、この地域でしかできないことがしたいという気持ちは元々あったので、小布施若者会議という場があって本当にありがたかったです。

元々は、町民ギャラリーとして使われていた建物でした。

元々は、町民ギャラリーとして使われていた建物でした。

-次に、HOUSE HOKUSAIをオープンするまでに最も大変だったことを教えてください。

モチベーションを保つことですね。最初は事業の形もはっきりしていなかったので、反対の声もたくさんいただきました。起業する人は大体そうだと思いますが、新しいことに挑戦するときにいきなり応援してくれる人はほとんどいません。特に難しいのが、家族や両親など、自分に最も近い人たちに納得してもらうこと。もちろん、みんな私のために反対したり意見をくれたりするのですが、彼らに納得してもらえるように自分の中でビジネスモデルを固めることへのモチベーションを保つのが大変でした。

-塩澤さんは、どうすることでモチベーションを保っていたのですか?

髙橋祥子さんという、ゲノム解析サービスのベンチャー企業を経営する方のブログにあった言葉が、「ある目的を達成するためのモチベーションを保つのに必要なことは、とにかく行動を始めること」だと。私も、少しずつでもいいから行動を起こせば、それに伴ってモチベーションは上がっていくものだと感じています。
例えば、自分の会社やお店を持ちたいという目標があるなら、そのために役立つような場所に足を運んで何かを得ることが大切ですよね。小布施町や長野県に、それを応援してくれる環境があってよかったです。

-次に、塩澤さんが仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。

自分の中で、常にアンテナを立て続けることですかね。同じ仕事を一定期間続けていると、「今の仕事をこのまま続けて、自分が将来なりたい姿になれるのだろうか?」と、ある種の違和感が生まれてくる時があるのです。アンテナを立てておくことでそれを見逃さず、行動に移すことが大切だと思っています。

-少しありきたりな表現になりますが、違和感が見つかった時に自分に嘘をつかない、見て見ぬふりをしないということでしょうか?

まさにそんな感じですね。新しいことを始める際には多くのハードルがありますが、挑戦しないままにしておくと、きっと後悔しますから。

-塩澤さんは、この地域に起業家が集まるためにはどんなことが必要だとお考えですか?

まずはクリエイターの方々に、小布施や長野という地域に魅力を感じてもらい、好きになってもらうこと。そのうえで、この地域で一緒に面白いことをしましょうと、上手に発信していくことが必要だと思います。課題や仕事だけがあって人を集めても、地域に愛着が無ければすぐに元の場所に帰ってしまいます。これは行政に任せきりでもいけないし、民間だけで全てやることもできませんから、二人三脚で取り組んでいくことが必要かなと思います。

-先ほどから塩澤さんは「クリエイター」という言葉を使われますが、それはどういう人のことを指すのでしょうか。

単純にアーティストという意味ではなく、何か自分でものを作ろうとしている人、この場所で人生をかけて何か仕掛けたいと思っている人が「クリエイター」だと私は考えています。ですから、例えば大企業や役所で働く人でも、自分の思いや信念を大切にして、事業や政策を形にする人は、クリエイターといえるのではないでしょうか。
その逆で、生産的な言動をしないで人の批判ばかりする人や、美味しいところだけ持っていこうとするような人達とは、私はなるべく距離を置きたいと思っています。ちょっと偉そうですが…。

ここが、クリエイターの集まる場所に。

ここが、クリエイターの集まる場所に。

-変な質問をさせてください。塩澤さんは現在の倍の年収が貰えるとしたら、公務員になろうと思いますか?

難しい質問ですが、ならないかもしれないですね(笑)。今の仕事に満足しているので。自分には、いくつかの仕事を兼業しながら働くスタイルが合っていると思います。様々な仕事で、自分の持っている能力を使い分けながらゴールを目指すやり方がいいです。でも公務員の仕事も、大きな事業を、多くのステークホルダーを調整しながら成し遂げることができることにすごく価値があると感じています。

-コワーキングスペースの運営以外に、現在やってみたい仕事はありますか?

カフェです!実は昔から、絶対にやりたいと思っていることの一つです。小布施町に「リトルパンプキン」というシフォンケーキが美味しいお店があるのですが、そこのオーナーの清水さんという方にケーキ作りを教わっています。カフェもコワーキングスペースと同じように、多くの人が集まる場所になりうるので。まずは北信で1店舗、その次に地元の南信でもお店が出せたらいいなと思います。
でも、まずはこのHOUSE HOKUSAIの運営を黒字化することが一番の目標ですね。そのためには、いいコミュニティをこの場所に作って、魅力的な人に入居してもらうことが必要だと思います。打ち上げ花火的に派手なことをするよりは、東京在住のクリエイターさん達とも良い関係を着実に築き上げて、ここを利用したいと言ってくれる人を増やしていきたいです。

-では、塩澤さんが考える、起業に必要なものとは何でしょうか?これから起業する方々へのアドバイスも含めて、教えてください。

2つあります。1つは周囲からの反対を乗り越える力です。きちんと説明することや、行動や結果で納得させることができるかどうかが大切だと思います。とはいえ、自分の信念を突き通すだけではなく、マーケットや周囲の人の声にも耳を傾けることは大切です。ですから、もう1つ必要なことは、事業は人と連携してやっていくものだということを忘れず、正しいと思う周囲の意見は真摯に受け止めることです。
もう1点付け加えるなら、地方で起業する場合には行政などの支援制度もうまく利用することが大切です。うまく活用できる制度は活用するという、「したたかさ」というか、スマートさが求められると思います。

-最後の質問になります。以前、ブログでおすすめの本を紹介されていますよね。いま改めて1冊おすすめするとしたら、どんな本でしょうか?

起業を目指す人に特にお勧めしたいのが、御手洗 瑞子(みたらい たまこ)さんという方の『気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社』という本です。会社を立ち上げた経緯や思いが、わかりやすく書かれています。ご本人が、まさにニットを編むように丁寧に言葉を紡いで美しい文章を書かれている、素晴らしい本だと思います。読みやすいし、元気がもらえる1冊ですよ。

-私もぜひ読んでみようと思います。今日はありがとうございました!

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ひとつひとつの質問に、本当に丁寧に答えてくださった塩澤さん。
笑顔と優しい口調でお話をされる方ですが、「前に進むために行動を始めること」や「自分の信念を持ち続けること」の大切さを語るときの言葉には強い力を感じました。
塩澤さんがHOUSE HOKUSAIにいることで、より一層小布施が魅力的な町になっていくような、そんな予感がプンプンします。
既に多くの面白い取り組みをされているので、ぜひFacebookやHPをチェックしてみてください!

(長野地域振興局 商工観光課 熊谷)

HOUSE HOKUSAI
〒381-0211
上高井郡小布施町雁田605
TEL:050-5327-4432
HP:
https://househokusai.com/
Facebook:https://www.facebook.com/househokusai/

 

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