2017.10.10 [ 長野地域の【観光】 ]
お家を整えて、日々の暮らしを幸せに 「収納企画トトノエ堂」(いいね!インタビュー③)
最近、朝晩はすこし寒くなってきました。夏服から秋・冬服への衣替えをした方も多いのではないでしょうか。タンスやクローゼットから服を取り出すとき、その数の多さに自分で驚き、片づけるのが面倒になってしまった経験、ありませんか? 今回は、新築やリフォームするお家に収納を提案し、お部屋の片づけに困っている人をサポートするという「収納企画トトノエ堂」の大島 千恵子代表にインタビューをしてきましたので、ご紹介します。
-よろしくお願いします。まずは、会社について簡単に紹介していただけますか?
はい。もともと、片づけの仕事をしていこうと私ひとりで立ち上げたのが「株式会社 いちにこLife」という会社でした。ひとりで行っていた時は、特に高齢者の方の役に立ちたいと思っていたので、デイサービスやケアマネージャーさんにもご協力を頂いて行ってきました。 ただ、私だけではできることが限られたり、思うように進んでいかない部分があったりして。お部屋の片づけを人にお願いするのもまだまだハードルが高いのかなって当時は思いました。でもちょうどその頃、私のように片づけを仕事にしたいという人が身近に増え始めていました。それなら同じ仕事をしたい人を何人か集めて、みんなで一緒にやろうとあらためて始めたのが「収納企画トトノエ堂」です。今現在は、いちにこLifeで行っていた高齢者向けの片づけサポートもすべて収納企画トトノエ堂に移行して行っています。
-最近になって、テレビでも「片づけのプロ」のような人をよく見るようになりましたが、その背景には高齢化や女性の社会進出があるのでしょうか?
そうですね。あと、女性にとっては自分の家庭の中でスキルアップができて、自分の実践していることをお客様の役に立てられるのが理由だと私は思います。同じように思う女性がたくさんいるから、仕事にする人が増えてきたのだと思います。
-いま、一緒に働いているお仲間は何人いるのですか?
会社で一緒に仕事をしているのは、私を含めて4人います。たまたま同じ地域に片づけを仕事にしたいと思う人が集まっていて、今のトトノエ堂があるので、けっこう奇跡的だなって思っています!
-大島さんは、会社を立ち上げるまでどんなお仕事をしていたのでしょうか?
少し遡って話をすると、学生時代私は東京にある服飾の専門学校に通っていたのですが、都会で暮らす中で「やっぱり、地元がいいな」と思って・・・。服を作ることを仕事にできる会社は長野にもあったし、卒業後も東京に住む必要性をあまり感じなかったというところでしょうか。
-服飾のお仕事なら、会社の数は長野より東京の方がずっと多いように思いますが、それでも長野に戻ってこようと思ったのですね。
そうですね。洋服を作ることができればどこでもいいかなと思っていました。いま考えても、長野に戻って就職したのは間違っていなかったなと思います。 その後、20代のうちに何度か転職をしたのですが、そのうちに「30代は、なにか自分で仕事を持ちたいな」と考えるようになりました。色々な仕事を経験してたくさんのことを学んで、あとは営業の仕事を経験すれば自分で会社をつくることもできそうだなと。 そんなふうにして決心はしたのですが、じゃあ何をネタにして起業するかと考えると・・・。
-そこがすごく気になるところです。どういうきっかけで、お部屋の片づけを仕事にしようと思いついたのでしょうか。
服を作ることは好きだし、それに関する知識も技術もありました。けれども、ファッションデザイナーなどの方たちと比べると、私にはそこまで洋服に対して熱意はないと感じていました。 何を仕事にしようか考える中で、ふと自分の部屋を見ると、たくさんの洋服が積み重なっていました。その当時は制服を着て仕事をしていたので、私服の出番はおもに休みの日になるのですが、いつも小一時間あれこれ悩んで手に取るのは、だいたい同じ洋服なんですよね(笑)。それがすごくストレスで!そんなとき、今までは洋服を作る仕事をしてきたけれど、洋服の収納や片づけはどうだろうかと思いました。いまの自分と同じようなストレスを抱えている人はきっとたくさんいるんじゃないかと気付いて、そこに仕事が生まれるかもしれないと感じました。そしてちょうどその頃、こんまりさん(近藤 麻理恵さん)が出版された片づけの本を読んだり、それがドラマ化されたものを観たりして、「やっぱり片づけを仕事にしている人がいるんだ!これだ!」と思いました。
-ご自身の日頃の悩みから、片づけを仕事にする発想が生まれたのですね。
前職で保険会社の営業の仕事をする中で訪問した高齢者の方のお部屋を思い出すと、足の踏み場が無いほど床に物が散らかっていて、暮らしていくのにかなり危険な状態のお部屋もいくつかありました。そんな高齢者の方たちの生活の手助けをしたいというのも、片づけを仕事に選んだ理由の一つですね。
-今までのお仕事とは全く違うことを始めたように見えて、実はこれまでの経験がしっかりと現在の仕事にも活きているのですね。
そうですね。たくさんの仕事を経験しましたが、そのすべてが現在につながっています。書類の整理の仕方ひとつをとっても会社ごとに違いますから、それも片づけの仕事をするうえでは勉強になりましたね。 私と同世代で、就職してから約10年間同じ会社で働いている方たちはきっと多くの実績をその会社で積み上げていると思います。私は職を転々としたので、どこかで大きな実績がある訳ではありませんが、様々な職場で経験したことの全てが現在に役立っていると、ほんとうに思います。
-2014年に、信州ベンチャーコンテストに応募して奨励賞を獲得されていますよね?
はい。県が関わった起業のイベントで信州ベンチャーコンテストのことを知り、応募しました。コンテストでプレゼンテーションをした内容と現在行っている仕事は少し違っていたりもしますが、人前で発表するために事業内容を練ることで、片づけの仕事のイメージがより具体的になりましたね。受賞したことで色々な方に顔を覚えていただけたことも大きかったです。
-それ以前に、プレゼンテーションをした経験はあったのでしょうか?
保険会社で働く中で、多くの方の前で発表するような機会がありましたし、片づけの講座やセミナーをやりたいと思って自分で勉強もしていたので、プレゼンテーションにはけっこう自信がありましたね。
-すごい・・・。プレゼンテーションといえば、10月15日(日)に開催される「信州創業フェス2017」でも、大島さんは「収納企画トトノエ堂」の事業アイデアをプレゼンテーションされますよね。頑張ってください!(信州創業フェス2017について、くわしくはこちらをご覧ください)
次に、「収納企画トトノエ堂」について詳しく教えてください。大島さんご自身は、会社の中でどんなお仕事をしているのですか?
私は主に、「開拓」の部分を担当しています。一緒に仕事をさせていただく建築会社様や、お客様を紹介していただけそうな業者様を探して回るのが、私の仕事です。これまでにご利用いただいたお客様にも、他所からのご紹介で弊社のことを知っていただいた方が多くいらっしゃいます。 そして、具体的にお客様に収納計画をご提案していくのが、他のメンバーの役割になっています。
-メンバーの中には、建築士の資格を持った人もいるのでしょうか?
はい。といっても、私たちの役割はあくまでお家の収納計画を行うことなので、お家全部の設計を私たちですることはないのですけどね。建築士の資格を持ったメンバーも、これまで家造りに関わってきた中で、生活の中でより細かな物の置き場所や使い方をちゃんと考えた家でないと生活しづらいことを感じていたそうです。資格を持ったメンバーがいるからこそ、設計段階から具体的なご提案ができるのが私たちトトノエ堂の強みですね。
-資格といえば、大島さんのプロフィールには「ライフオーガナイザー」という肩書が書いてありますよね。これはどんな資格なのでしょうか?
まず、片づけに関する考え方の一つに「ライフオーガナイズ」というものがあります。具体的には、「部屋に散らかったモノをどう片づけるか」というような細かい視点ではなく、「そもそも、その部屋をどんな空間にしたいのか」といった視点から片づけを考えるのが、「ライフオーガナイズ」です。これはアメリカで生まれた考え方の日本版なのですが、日本では一般社団法人 日本ライフオーガナイザー協会の認定を受けると、片づけのプロであるライフオーガナイザーとして活動することができます。
-そんな資格があったのですね。トトノエ堂では、ひとりのお客さんにどれぐらいの期間をかけて収納計画を立てるのですか?
新しくお家を建てるケースでは、間取りを検討する段階から関わらせていただくこともありますので、およそ半年から1年ぐらいのお付き合いになりますね。お家の片づけのみのケースでは、短い場合1日だけご自宅にお伺いして片づけをすることもあります。
-ぜひ私の家にもお願いしたいです(笑)。利用されるのはどんな方が多いですか?
現在は、原則全てのサービスを女性限定とさせていただいていますので、やはり主婦さんがメインですね。お家の設計から考えていく場合は、旦那さんにも一緒に考えて頂きます。
-家事の多くを奥さんに頼ってしまう家庭は、実際まだまだ多いですもんね。私は男ですが、もし片づけのコツがあれば教えていただきたいです。
片づけって、実は考え方をひとつ変えるだけでうまくいくと言っても過言ではないです。それは、自分に必要な物は何かということを、とことん考えることです。洋服だったり、化粧品だったり・・・。普段の生活で使っていない物や、自分の視界に入っていない物って、結局は必要ない物であることも多いです。ぜひ、自分に必要な物をしっかり探してみてください。
-ありがとうございます。何だか、大島さんのご自宅を見てみたくなってしまいます(笑)。
物が何もないので、あまり参考にならないと思いますよ(笑)。ぜんぶが収納に収まっているので、私にとっての理想の状態ではあると思いますが。外に出ている物は、生活に必要な家具と、観葉植物と、無印良品の”人をダメにする”といわれるソファぐらいですね。あと最近では、家事に協力してくれる夫の希望でキッチンに水切りカゴを設置しました。これまで私には必要なかったのですが、それで食器洗いを手伝ってくれるなら・・・と泣く泣く承諾しました。けれども水切りカゴを使ってみて、自分だけでなく家族の使いやすさや気持ち良さって大事だと実感しました。食器洗いを手伝ってくれる夫に本当に感謝しています。
-そこまで必要なものを突き詰めているのですね!ぜひ見習いたいと思います。さて、この1年間トトノエ堂としてお仕事されている中で、大島さんはどんな事に喜びを感じましたか?
片づけをご依頼いただくお客様は、お部屋が散らかっていることに劣等感をお持ちのことが多いのです。それが一緒に片づけをさせていただいてお部屋が綺麗になることで、お客様ご自身も明るくなっていく姿を見ると、すごく幸せを感じます。お家を整えることを通して、たくさんの方に元気になってもらえたら嬉しいです。 この仕事は、直接ご自宅にお伺いして、お客様が大切にしてきたものに触れて収納を考えていく仕事なので、お客様に幸せになってほしいという考えは絶対に忘れてはいけないと、いつも思っています。
-すごく素敵だと思います。今後、「収納企画トトノエ堂」をどんな風にしていきたいですか?
この1年間で会社の土台になる部分をずっとつくってきました。今年以降はその土台をどんどん強化しつつ、色々な方にご利用いただくことで会社の名前を広めて、快適に暮らせる人をひとりでも多く増やしたいと思っています。また、地域の色々な企業様と協力・コラボレーションすることで新しい価値を生み出して、一緒に発展していけたらいいですね。
-色々なお店や企業とコラボレーションできる可能性がありそうですもんね。では最後に、これから創業する人達にアドバイスをお願いします!
はい。私自身の経験から言うと、起業することってすごく大変だけれど、本当に楽しいと思います。自分が全力を尽くせるものを見つけて、その熱意を持ち続けられれば、たとえ辛いことがあっても、きっとアイディアは止まることなく溢れてくるはずです。だから、これを仕事にしたいというものが自分の中にある人には、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。
-大島さんの今後のご活躍にも期待しています。今日はどうもありがとうございました!
インタビューは以上です。 大島さんのお話を聞いていると、自分の暮らす部屋はもっと快適で、もっと楽しい場所にできるのではないかとワクワクする気持ちになってきました。長野市内で定期的に、収納講座も開催しているそうなので、みなさんもぜひ大島さんのお話を聞きに、参加してみてください。
(長野地域振興局商工観光課・K)
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