信州森林づくり応援ネットワーク

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ろもうマンのくねくね日記 その33

ろもうマンのくねくね日記 その33
「哀愁のヨーロッパ、ロモウマン・イン・オーストリア④ の巻」

くねくね日記オーストリア編、勢いでアップしたのはいいけど、後が続かなくて、結局気がついたら11月だね。今年も終わったようなものだね!

というわけで、気を取り直して、いよいよオーストリアの林内路網について、だよ!

オーストリアの路網といえば、この人にまかせよう!

オーストリア林道技術者のヤネガーターさん(※)だ!

「ハロウ・・・カアサン、ボクノチロルボウシハ、ドコニイッタンデショウネ・・・」

・・・やっぱり、ボクが話すよ。カタカナセリフって、読みづらいから・・・

まずはこれだ。


上の写真は、オシアッハの研修所の近くの山に整備されていたものだけど、オーストリアで(少なくとも今回の研修で)林道という呼ばれ方をしていたのは、こういう道のようだ。
えっ?日本と同じじゃん、って?そのとおり。まあ、話はこれからこれから。

細かい話をする前に、まずは、押さえておかなければならない点をひとつ。
それはね、日本で林道というと、ほとんどが県や市町村が施工主体となって整備し、市町村が管理する、いわゆる「公共施設」、「公道」なんだよね。
ところが、オーストリアでは、林道は基本的には森林所有者が共同で計画、整備、管理する、いわゆる私道のようなものなんだね。だから、入り口には必ず、このようなゲートが設けられている。


ただし、私道のようなものといっても好き勝手に作っているわけではないし、森林所有者自らが、設計図を描いているわけではない。「林業技術事務所」という民間の機関があって、そこの資格を持った技術者が計画、設計、施工管理をしているんだって。

次は、研修で学んだ林道の規格・構造。ちなみに、ここで紹介する規格や構造については、日本の「林道規程」のように国内で一律なものかどうかは不明。だけど、他の事例などをみると、それほどバラツキはないようだ。
・幅員(道路幅);側溝や路肩を含めた全幅員は4.0m~4.5m、車道幅員は3.0m~3.5m
・縦断勾配(道路の勾配);3%~10%
・横断形状(横方向の断面の形);屋根型で勾配は5%(「へ」の字形で「へ」の線の傾きが5%)
・曲線半径;最小曲線半径は12m

賢明なる読者諸君はもう気がついていると思うけど、このオーストリアの林道、どうやら日本でいうところの林業専用道(いわゆる2級林道規格相当)に近いものなんだね・・・日本の林業専用道が、全幅員3.5m、車道幅員3.0mだからほぼ同じだし、最小曲線半径12mは同じだよね。

で、この林道、日本の林業専用道との最大の違いは、というと・・・

横断形状だ!日本の林業専用道は、路面は平らだけど、オーストリアの林道は、「屋根型」形状なんだ。

ということは、路面を流れた雨水は、山側(写真でいうところの左側)にも流れるから、必ず側溝が必要になる。日本の林業専用道は平らだから基本的に側溝は設けないことになっている。ここにも大きな違いがあるね。

側溝を流れた雨水は、暗渠によって谷側に排水される。

このような暗渠は、50mから100mの間隔で設置されているようだ。

えっ?こんなのすぐ詰まってしまうだろ、って?
するどいね・・・でも、これをみてくれ。


よーく見ると、山側の法面の侵食で堆積した土砂が側溝を埋塞させたけどその後土砂を除去した的な・・・一言でいうと、側溝の管理をきちんとしている形跡がある、ということだね。


上の写真は、暗渠工が道路を横断する前の、一時的に雨水をためる箇所だけど、重機でひとかきしたような跡があるね。研修所近くの林道には、暗渠工がある場所に、必ず青く塗られた目印棒が設置されていた。

そもそも、このような排水方法を採用した理由として、林道路面の「均し」をすべて機械で行うから、路面表面に設置する横断工などの施設はジャマになる、ということらしい。
側溝の管理も含めて機械力を駆使しているから、定期的なメンテナンスができる、とも言えるのかなあ。

まじめな話をしすぎたから、疲れたよ。今回はこれくらいにしておこう。路網の話は、まだ続くよ!期待しないで待っててね!

ヤネガーターさん、次回もよろしくね!

・・・えっ?ところで、ヤネガーターさんって、イラスト的には林道アニキのマイナーチェンジ版だって?手抜きもいいところだな、て?
たまたまだよ。万国共通の造形というものはあるものですなあ。それに、よく見ると違うところがたくさんあるしね!

・・・またね!

※ヤネガーターさんは、まったくの架空の人物で、実在するオーストリア林業関係者とはいっさい関係ありません。

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