商工観光課 伝統工芸品担当のSです。
管内の伝統工芸品やクラフト産業を不定期に紹介する第5弾は、年の瀬にふさわしい「御神酒の口」です。
ご存じない方も多いと思いますが、「御神酒の口」は正月や年中行事などの折、神棚に供えた一対の御神酒を入れた徳利の口に挿す飾りです。縁起ものとして江戸後期ごろから庶民に普及してきました。
「御神酒の口」の素材は竹、樹木、経木、和紙などがあり、形も様々でその地域によって独自の発展を遂げてきました。生活様式の変化により神棚が少なくなったことで、需要が減少し廃れていった地域が多くあります。
昭和の中頃までは松本市でも数軒は「御神酒の口」を製作していましたが、現在は、矢澤商店が唯一製作し、技術を伝承しています。4代目となる千野恵利子さんが11月中旬から「御神酒の口」を編み始めるとお聞きして、お邪魔しました。
材料は松本市内の竹林からマダケを切り出して、下ごしらえとして竹を節ごとに切って、割り、芯を残しながら40本程に裂いてヒゴ状にします。ヒゴの横幅は1.2㎝から1.4㎝、ヒゴ1本の幅は1.1mm、厚みは0.25mm程に仕上げます。
当日は千野恵利子さんに仕上がった竹ヒゴを編んでいく作業を見せてもらいました。プラスチック製の編み針と一本の糸で、下から上へ左右のヒゴを束ねて縛っていき、仕上げに余分なヒゴを切り揃えて、糸隠しを貼り付けて完成です。
矢澤家の「御神酒の口」は他の地域と比べるとヒゴの数や厚み、編み方に特色が有り、細工が細かく際立った美しさがあります。
平成23年には文化庁が無形の民族文化財として、この技術を記録に残そうと矢澤家の協力の元、調査して一冊の報告書にまとめています。
矢澤家の「御神酒の口」は竹で松を作り、梅飾りをつけるので、松竹梅が揃うおめでたい形です。
一番の売れ筋は「三階松梅付」です。種類は10種類作製していて、値段は4,500円から一番高い「寶入船」は33,000円になります。(ゴメンナサイ!寶入船の写真はありません)
以前は四柱神社の「歳の市」に露店を出して300対程を販売していましたが、今年は縄手通りの「矢澤鯛焼店」で12月25日から30日の期間に200対程を販売します。
店先に「御神酒の口」の見本が飾られていますので興味のある方はお話を伺ってみて下さい。(混雑時はご遠慮くださいね!)
神棚が家庭やお店から減ってきた現在、ライフスタイルの変化に合わせてお正月の飾りとして購入する方も増えてきたようです。我が家も神棚は無いので、お正月飾りとして購入しようと思います。
年末忙しい方は、1月17日(水曜)~1月23日(火曜)に井上百貨店本店7F大ホールで開催される「第39回長野県伝統工芸展」に出店する予定なので、そちらでも購入可能だそうです。
矢澤鯛焼店
松本市大手3丁目3
0263‐33‐2482
営業時間 10:00~17:30 (不定休)
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