2014.12.20 [ 歴史・祭・暮らし ]
千鳥の声聴く頃 【井月さんのこころ91】
菱餅の躾の甲斐や誰が女雛 青巒
菱餅の句は、初回、桃の節句・雛祭りの頃【井月さんのこころ1】の再掲です。
過日、田畑の片付け作業をしていたら、三本刃の鍬の柄が折れてしまいました。無理して抉(こ)じてしまったために途中でポッキリと。長年に亘り父母が愛用していたものの一本です。
ホームセンターで探して、万能鍬用の柄(1,680円)を購入し、付け替えることにしました。柄先の外側を鍬の枘(ほぞ)穴に合わせてアール状に削り、最後に楔(くさび)を打込んで固定します。楔は金属製のものが購入した柄に付いていました。
ここで、この金属製の楔をどのように打つか、少し迷いました。というのは、従前の場合は木製の楔を鍬の首の内側の三角形部分に打込んで、外側に押し付けるように使っていました。今回は、鍬の首の外側に金属製の楔を打込んで柄を内側に押し付けるように固定することにしました。楔の打ち所を間違えると柄が割れたり、かえって強度を損ねることになってしまいます。
この『楔(くさび)』について、国語辞典(三省堂:金田一京助編)で調べてみると、
① V字形をした木片(金属片)。木や石の割れ目に打ち込んで割ったり、物を押し上げたりするのに使う。
② 物と物のつなぎ目が離れないようにするもの。
とあり、用例『楔を打込む』を調べると、
α 敵陣に攻め入って、その勢力を二分する。
β 後のちに自分の勢力を拡大する足掛かりとなるものを、相手の組織の中に作る。
というわけで、鍬の柄の場合は、②の接着するために使われる楔ですが、逆に①のように割るために使われる楔もあります。
衆議院総選挙投開票の翌日、信濃毎日新聞の社会面の見開き大見出しは「国の岐路 自民重責 信州 野党がくさび」とありました。
雪蛍舞ひ上がれずに楔打つ 青巒
心は馳せる宙(そら)の高みに 朴翆
柄を替えし三本鍬に雪は舞う 青巒
冬の寒さの中で、井月さんはこう詠んでいます。前回に続いて「千鳥」です。
粥烹(かゆにる)や手に取るやうに鳴く千鳥 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
伊那市東春近渡場の天竜川端に殿島橋の碑があって、脇に小さな庵ができた。明治7年井月が鵆庵(ちどりあん)と命名した。地元の人たちの寄り集まる場所となった。雑談・句作・酒盛り。
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