2013.02.23 [ 歴史・祭・暮らし ]
桃の節句・雛祭りの頃 【井月さんのこころ 1】
井月さんのこころ シリーズ その1
3月3日は桃の節句・雛祭り。女の子のいる家庭では、お雛様を飾り、菱餅・白酒・桃の花を供えて、我が子の健やかな成長を願います。
伊那市西町の「旧井沢家住宅」で16日から3月3日まで「第8回まゆ玉飾り・雛祭り」が開催されています。「伊那部宿を考える会」が主催し、まゆ玉飾り、雛人形、押し絵びな、吊るし雛などが展示されていて、見ごたえがあります。
雛に供ふ色香めでたし草の餅 井月
雛祭り蝶よ花よとかしづかれ 井月
草の餅とは、春先この地方では餅草(もちぐさ)とも呼ばれる蓬(よもぎ)の若芽を摘んで茹でて、粉を蒸した餅に入れて捏ねた生地で小豆(あずき)の餡を包んで作る餅菓子のことで、色も香りも良いものですが、お雛様に蓬餅を供えるのは、伊那谷では春先かなり暖かくなってからでないと難しいので、旧暦で祝った頃のことを詠んでいるのでしょう。
明治6年(1873年)1月1日に改暦が行われて以後は、桃の節句も端午の節句も次第に新暦で祝うようになっていったものと思われますが、井月の生きた時代は、ちょうどその過渡期だったのでしょうか。
遣るあてもなき雛買ひぬ二日月 井月
この句の評釈について井月研究の第一人者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
天涯孤独放浪の身は、思わず買ってはみたが、さてこのお雛さま、誰に遣ろう当てもない。陰暦三月二日は翌日の雛祭りの前日。旧暦では二日に二日月が出るが、夕方西山に入ろうとする月を見上げ、さて今夜はどこへ宿をと思案に暮れる人間味豊かで、孤独な井月。自身の編んだ『越後獅子』にこの句があり、作者は「エド机月」。高津氏は井月作の署名のある真筆を見て全集に収める。
(雛・春)
さて、井月さんはどの様なお雛様を買い求めたのでしょうか。
ちなみに、今年の旧暦3月3日に当たる日は、4月12日になります。
菱餅のしつけの甲斐か誰が女雛 青巒
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