2014.12.22 [ 地域振興局 ]
伊那谷の林業を考える研究会2014
伊那谷の森林の抱える問題を、伊那谷の森林・林業に関わる私たち自らが研究し、その成果を発表し合い、改善策を導き出して林業の再生や地域の活性化につなげていこうと、12月16日に平成26年度の「伊那谷の林業を考える研究会」が開催されました。
今年のテーマは、「野生獣被害対策で捕獲されたシカの利用」について。諏訪・上伊那・下伊那地域から4つの発表があり、大雪にも関わらず、信州大学農学部のキャンパスには約100名の皆様にお集まりいただきました。
研究成果の発表の様子をレポートします。
最初は、諏訪地方事務所 林務課の山中 徹也さんの「すわしかプロジェクト」の報告です。
諏訪地域ではシカの増加で、H23 約2,500頭 → H25 約5,000頭へと、2年間で捕獲数が倍増。捕獲後の処理方法は、埋却と焼却が8割強を占め、食肉利用は全体の16%にとどまっています。
個体数管理で捕獲したシカを「捨てる」から「活用」へ、「ゴミ」から「地域資源」へと転換して、狩猟者の意欲向上や地域産業にもつなげようというのが「すわしかプロジェクト」の目的です。
まだ、シカ肉やシカ製品の安定供給や価格設定等で課題があるそうですが、プロジェクトの今後の進展が期待されます。
2番目は、信州大学農学部の学部生さんによる「長野県のジビエ生産施設と流通」の研究報告でした。
長野県内の9つの野生鳥獣肉生産施設の、規模や稼働状況を調査・分類した結果の発表です。
北信・中信・南信の各地域で、施設のタイプがハッキリと分かれる驚きの結果で、とても興味深い研究内容でした。
個々に運営されているジビエ生産施設を、県下縦断的に調査・分類した研究は、今回が初めてなのではないかと思います。
現在は、調査結果を卒業論文にまとめている最中とのことで、どんな論文に仕上がるのか、楽しみですね。
3番手は、下伊那郡泰阜村の地域おこし協力隊の井野春香さんの「けもかわproject」の活動発表です。
大学で林学を専攻され、卒業後、地域おこし協力隊として泰阜村役場に着任。
捕獲された獣の命をムダにしない暮らしづくりを提唱し、「命の尊さ」を大切に思う気持ちを原動力に、地元の猟友会から提供されるシカ等を解体し、獣の皮で「獣かわいい」けもかわ商品の開発を行っています。
シカ皮の小物のデザイン製作にとどまらず、ものづくり体験や猟師体験ツアーなどの企画も数多く仕掛けられ、とても活動的です。
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