2014.12.19 [ 歴史・祭・暮らし ]
今に伝わる水資源「伝兵衛井筋」
魅力発掘探検隊のKです。
伊那市富県の「伝兵衛井筋」を紹介します。
「伝兵衛井筋」は、新聞でも取り上げられている伊那谷では多くに知られた農業用水路です。 「伝兵衛」は人の名前、「井筋」は用水路のことです。
伊東伝兵衛は、幕末に高遠藩が行う事業に測量技師として参加した伊那市長谷杉島の名主で、この富県の水路のほかに伊那谷各地で水路開削、開墾を手掛け、現在の伊那谷の米作り土台を築いた偉人です。
伝兵衛が私財を投じて苦労し開設した富県の「伝兵衛井筋」が現在も地域の人に守られています。
伊那市富県原新田一帯の水不足を解消するため、1650年代に、一旦は開設された水路が、地形が急峻な難所「鞠ヶ鼻」の崩落で、一時は放置され、その後復旧を図りましたがうまくいかず、200年近くたった1832年に4里にも及ぶ「伝兵衛井筋」の改修が完成したのです。
その後も、維持管理費の捻出のため、農家との調整が続きましたが、話し合いは難しいものだったようです。
そうしたなか、1862年に伊東伝兵衛はこの世を去ることになりますが、「伝兵衛」の名がついた水路は、現在も農地を潤し、良質なおいしい米を作り続けています。
現在は取水箇所も変わり、難所「鞠ヶ鼻」は昔の水路を跡が伺えるだけですが、下流では、地元春富土地改良区の手により、水路の形は変えても、「伝兵衛井筋」の大切さを後世に伝えようと、大切に管理され、米作りに活用されています。
また、春富土地改良区は、取水や水路の維持管理費の一助となるよう、水資源を活用した小水力発電も計画しています。
これも「伝兵衛井筋」を伝え活かしていくことになると期待できます。
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