井月さんのこころ シリーズ その74
今年のお盆は、迎え盆の13日を除き、ずっと雨模様でした。
西瓜は熟す前に雨に当たっていくつも割れてしまいました。
叔母の新盆には、西瓜と夕顔とオミナエシを供え、香を点ててきました。
送り盆にアザミの花にとまるキアゲハです。
甲子園の高校野球は、台風11号の影響で開幕が順延され、4日目の14日(木)第一試合で佐久長聖高校は、山梨県代表の東海大甲府高校と対戦し、3-1で勝利しました。
県勢の勝利は5年ぶり、佐久長聖高校としては12年ぶりの勝利となり、これで北信越5県全校が初戦突破しましたが、これは史上初とのことです。
4回裏2アウトからのホームラン、6回裏2アウトからのタイムムリーはいずれも5番打者。左右の両投手も東海大甲府の強力打線を抑えて初戦を勝利で飾りました。
次の2回戦は、福島県の聖光学院と盆明けに対戦することになりました。
14日の晩は、祭林寺の境内で恒例の盆踊りの予定でしたが、雨模様のため急遽テントの数を増やしたものの、人出も少なく、準備してしまった商品が売り切れると出店も早々と店じまいしてしまい、寂しいお盆でした。
休耕田の雑草が伸びたので、雨の合間をぬってトラクターで掻き回し、耕耘機で畝立てをして、煮物用の大蔵大根と漬物用の地大根の種を播きました。ジャガイモを掘った後に播いておいた白菜や大根は芽が出揃ったので、消毒をし、一回目の疎抜き作業をしました。
さて、前回その73で「誰かある暑さ凌ぎに川越む 井月」の句を紹介しましたが、井月さんを世に紹介した下島勲(空谷)さんが書き残した「乞食井月と夏」に、井月さんの「夏らしい涼しそうな行動」の一つとして、次のような逸話が登場します。
ある篤志家から贈られた古物の夏羽織を着ていた井月さんが、ある日、炎天下の天龍川原で、その羽織を掬い網に代用して水溜りの雑魚を追い回していたのだそうです。
その後、時を経て井月さんが某家へ廻って来たので、かねて見ていた人から(そのことを)聞き知っていた主人が「魚網に使ふ気転や夏羽織」と書いて見せたところ、井月さんは「千両千両」と喜んで手を拍ったのだそうです。
下島勲(空谷)さんを主治医とし井月さんを世に出すお手伝いをした芥川龍之介も詠んでいます。
川狩や陶淵明も尻からげ 龍之介
家々を寄食して廻りながら、手土産にするため雑魚を捕まえようと炎天下の川に浸かっている井月さんなのでした。
そんな井月さんが詠んでいます。
油断なく残暑見舞や帘(さかばやし) 井月
残暑見舞いに立ち寄ろうと、酒屋の門を覗き込んでいた井月さんの姿が目に浮かびます。
更には、炎天下を歩き廻っていたのでしょう。
旋花(ひるがお)や切れぬ草鞋(わらじ)の薄くなる 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
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