2014.04.26 [ 歴史・祭・暮らし ]
散りゆく桜に【井月さんのこころ58】
以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
鎧の袖を払うと溜まった花弁が吹雪と散るという。井月は武士の出かというが、今や別世界。これは、井月の王朝趣味で、全集に「忠度と題せしものある由」と注。平安時代末期平忠度(ただのり、一一四四~八四。清盛の弟)の「行き暮れて木の下陰を宿とせば花やこよひの主ならましに」などを念頭に、風流な武士を描いた。
(花・春)
さて、井月さんの高い学識に基づく「鎧」の句を紹介したところで、ちょうど今、高遠歴史博物館において、特別展「高遠藩大甲冑展」が開催されています。
21日(月)午後、満開が過ぎて落花盛んな高遠城址公園を散策しながら、その大甲冑展も見させていただきました。
井月さんが生きた明治維新の同じ頃、高遠藩の最後の藩主・内藤頼直公は、版籍奉還を行い、高遠藩の領地と領民を朝廷に返還しました。その後、明治4年に旧領内の111箇所の神社へ内藤家が所蔵する武具を一斉に奉納したのだそうです。
このとき奉納された具足、御旗、太鼓、撓(しない)などが現在も旧高遠藩であった北は塩尻市洗馬から南は駒ヶ根市中沢までの神社百箇所余りに大切に残されており、今回そのうちの武具19点ほか寄進状などが集められて特別展示されています。
藩主が用いた甲冑や御小姓が着用した具足、珍しい馬面・馬鎧などが展示されており、6月22日(日)まで(月曜休館)見ることができます。
「大奥絵島事件から300年」や「坂本天山の大砲」など高遠藩ゆかりの貴重な常設展も見応えがあります。
また、隣接する「信州高遠美術館」では5月25日(日)まで、「櫻コレクション」で有名な京都嵯峨野の佐野籐右衛門氏の銘品数々と伊那谷のご出身で京都在住の陶芸家・小松華功氏の「櫻陶展」が開催されており、こちらも見させていただきました。
これまた高遠の桜に因んだ見応えのある特別展です。
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昨年この時期には、歌手で版画家のジュディ・オング倩玉(せいぎょく)さんの木版画展が信州高遠美術館で開催されていました。そのときのブログ記事は、遡回その8をご覧ください。
ひらひらと「蝶」のように【井月さんのこころ8】
さて、先週末は地元の行事が目白押しで、19日(土)は小野山林組合の役員鍵役(かんやく)で西山(駒沢山)の境立て、翌20日(日)は耕地総会と続きました。
小野山林組合は、辰野町小野の山林・原野約480ha(森林簿面積:国等への売却済を含む。)の管理を行なっている任意の地縁団体で、現在、代議員を仰せつかっています。昭和36年記名共有登記を行なった設立当初351名いた組合員も昨年度220名まで減少してきており、維持管理は大変な負担になっています。
東山は、天然記念物の枝垂れ栗森林公園一帯を町へ貸し付けており、比較的なだらかな赤松や唐松林で、西山では、駒沢ダム建設が中止になり、駒沢川の中・下流域において建設事務所(建設部予算)による流路整備、上流域において地方事務所(林務部予算)による治山事業が行なわれています。
このうち西山最上流部の山林組合所有林では、平成24年度から27年度までの計画で治山事業が進められており、昨年度までに谷止め工4基が完成し、健全な森林にするための間伐等も実施されています。
境立ては9名ずつの二班に別れ、当方は、陸上自衛隊の射撃場(売却済・国有地)との境を境界杭を確認しながら登り、標高1300m近い尾根に出て、塩尻市との境界、本州製紙林との境界を確認し杭を補充して打ちながら、霧訪山(きりとうやま)標高1305m付近の尾根でもう一班と出合い、「矢背尾」の沢から駒沢林道へ下りました。
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翌日の秋葉様のお日待ち神事に使うために、尾根で榊(そよぎ)を切って下りました。尾根にはコブシが咲き、沢にはまだたくさんの雪が消え残っていました。
山に杭打つや野遊び境立て 青巒
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