い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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諏訪形の猪垣跡 ~農作物を守る先人の苦労に触れる~

 よく晴れた土曜日、私は思い付くまま伊那市諏訪形に向かいました。

 鹿や猪などから農作物を守るため、先人が構築した「猪垣」(ししがき)があると聴いたからです。

 広域農道の諏訪形バス停から西に入り、高速道路をくぐると、やがて林と畑を仕切るようにして、木柵が見えてきました。
 

 猪垣は、藤沢川から太田切川に至る標高700mの地域に作られたもので、現在はそのうち40mが復元されています。


 元禄前にはもうできていたのではないかと言われ、その後、寛保元年(1741)と文化5年(1808)に宮田と共同して再普請が行われたそうですが、中でも文化5年の再普請は、全体で延べ7200人余、諏訪形だけでも延べ2600人余の人足が出たと言いますから、かなり大規模な工事であったようですね。

 木柵と言っても、ただ木を立てたわけではなく、山側に1.5mほど掘り下げた土手の上に長さ約2mの木を埋設。

 復元時においては、主杭としてプラスチック製の擬木を1m間隔で立て、その間にヒノキや杉の間伐材を縦木として利用。上下2か所にカラマツの横木を取り付けるという、大変手の込んだものです。

 このような木柵が何kmにもわたって設置されていたとすれば、ちょっとした砦のようではありませんか。

 すごい。

 猪垣ができる前は、焚火、添水、小屋番、板叩などで被害を防いでいたようですから、猪垣への期待は大きかったことでしょう。

 猪垣は、平成6年に伊那市教育委員会により「猪垣跡」として市史跡に指定され、平成7年に諏訪形区の協力により復元。

 平成20年度からは農林水産省「農地・水・環境保全向上対策事業」により改修工事が実施され、10mから40mに延長改修されました。

 現在、猪垣の前には、電気柵が並行して設置されています。

 高速道路と猪垣、電気柵と猪垣の対比は時代の流れを感じさせますね。
 

 ※ 木々の間に高速道路が見えます。

 皆さんも、広域農道を通る機会がありましたら、農作物を守る先人の苦労に触れてみてはいかがでしょうか。 (商工観光課momo)

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