2015.03.20 [ 歴史・祭・暮らし ]
先人の治水の知恵「霞堤」
魅力発掘探検隊のKです。
今回は三峰川の「霞堤(かすみてい)」を紹介します。
「霞堤」は、池水の策として武田信玄が考案したと伝えられています。
江戸時代以降に治水対策として多くの河川でこの策が採用されたようです。
伊那市の三峰川でも、竜東橋上流で何カ所かでこの霞堤が整備されており、川の両側の水田地帯は洪水時には遊水地として氾濫被害の軽減備えとなっていたようです。
現在は、上流にダムが整備され、河川整備もされていますので、霞堤がその役割を発揮する機会があるかどうかは解りませんが、貴重な土木遺産でもあると思います。
霞堤は上記の概念図のとおり、河川堤防を連続させずに一部で堤防を切って、洪水時に切れた堤防から増水した水を堤内地に誘導して、下流の決壊を防ぎ被害の軽減を図るもので、普段は農地ですが洪水時には遊水地として使うものです。
洪水後水位の低下とともに増水した水も引きまた農地としての利用が可能となるもので、副産物として、洪水とともに運ばれた山の肥沃な土が農地に堆積して地力アップに繋がったようです。
自然とともに生きた先人の知恵と言えるでしょう。
「霞堤」の語源の由来は、堤防が折れ重なり、霞がたなびくように見える様子から呼ばれているそうです。
○三峰川サイクリング・ジョギングロードの案内看板
三峰川榛原河川公園(霞堤を利用した河川公園)には、新三峰川橋から竜東橋間の堤防を利用した「三峰川サイクリング・ジョギングロード」が整備されていますが、何カ所はアップダウンの所があり、この場所が「霞堤」です。
○三峰川榛原河川公園の堤防が切れたヶ所
○左岸川の堤内地の農地(洪水時には遊水地となった場所)
○河川堤防から霞堤を望む
○霞堤の先端に祀られた「水神様」(水に対する敬意を表しているのだろうか)
皆様の近くの河川にも「霞堤」があると思います。
是非一度目を向けてみてはいかがでしょうか。
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