2016.02.27 [ 歴史・祭・暮らし ]
二日灸すえる頃 【井月さんのこころ155】
井月さんのこころ シリーズ その155
第3回伊那谷で育った中村不折に続け!子どもたちの書初め書道展が28日(日)まで長野県伊那文化会館美術展示ホールで開催されています。29日(月)から3月11日(金)までは、アルプス中央信用金庫本店多目的ホールで展示される予定とのことです。
駒ヶ根駅前の割烹食堂「水車」さんが製作された今年の「井月カレンダー」の1月・2月には、次の句の井月さんの真筆に片桐美登先生の絵と伊藤伊那男先生の解説が付けられています。
隣から向ひから来て二日灸 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
陰暦二月二日と八月八日に灸をすえる風習があった。この日すえると効能が二倍という俗信があって、隣近所誘い合ってすえたもの。
駒ヶ根市東伊那塩田の馬場行恕氏宅にはその昔井月がよく訪れたそうで、短冊を多数所蔵。平成十三年その内七枚を一碑に刻んで建てた。ともに刻んだ春の句は、「雨もたぬ朝の曇りや落椿」「曙は常にもあれど春の富士」。
(二日灸・春)
今年の旧暦二月二日は、まだ少し先の3月10日(木)になります。この句、伊藤伊那男先生の解説のとおり「隣から向ひから」の表現が非凡で、農閑期に隣近所寄り合って寛いでいる景色が眼に浮かびます。
更に、もう一句。
誉られて泪隠すや二日灸 井月
この句についても、竹入弘元先生の評釈を引用させていただくと・・・、
陰暦二月二日、灸をすえて疫病を除け、体を健康にしてこれから始まる農作業に備える。誉められて涙を隠すというと、若い人であろうか。熱いのをこらえておとなしくすえた。
最近は鍼灸の効能が再評価されて盛んになったが、昔のように、あまり熱くなく、灸跡が膿んだりしない工夫がなされている。
(二日灸・春)
二月は、如月(きさらぎ)。寒さで着物を更に重ねて着ることから、「衣更着」が語源になっているとのこと。
もうすぐ弥生(やよい)三月。木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる)月という意味で、「いやおい」が縮んで「弥生」になったのだそうです。
今年は四年に1回、四百年に97回ある「うるう年」で、2月が29日までありますが、なぜ、2月だけが30日に満たないのか不思議に思いませんか。ウィキペディアによれば、次のとおりです。
他の月の日数が30または31日なのに対して、2月だけ28または29日なのは、 アウグストゥスが紀元前8年、8月の日数を30日から31日に変更し、そこで不足した日数 を2月から差し引いたためである。
ということで、8月の英語名 August は、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス(Augustus)が、8月の名称を自分の名に変え、日数を増やしたことに由来するとのことです。
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