2016.02.13 [ 歴史・祭・暮らし ]
ありがたき盲亀浮木に 【井月さんのこころ153】
また、県は、1日の緊急部局長会議で「子どもを性被害から守るための条例に関する基本的な方針」を決定し、17日から開会する2月定例県議会へ条例の骨子案を示すことになりました。
さて、ここから話しは、「飛躍」ならぬ「潜航(せんこう)」しますが、広い大海の底に棲む「亀」ならぬ「鮟鱇(あんこう)」のお話しです。
冬の鍋料理で、「西の河豚、東の鮟鱇」は横綱級の具材になります。
冷凍された鮟鱇の切り身や皮を湯通しして、鮟鱇の肝を味醂などで溶いた「だし汁」で野菜などと一緒に煮込みます。本格的には、板昆布を煮てだしを摂ってから煮込むのが良いのだそうですが、これでも十分においしい鮟鱇鍋が楽しめます。
魚屋の軒先に吊るされた鮟鱇を井月さんが詠んでいます。
鮟鱇や兎角もの憂き懸処 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
鮟鱇は深海魚、大きさは一五〇センチにも。琵琶のような体形で口が大きい。皮がぬめぬめしているので、魚屋は口に鉤をかけて吊るし、「鮟鱇の吊るし切り」にして売る。「とかくもの憂き懸処」は見るからに異様で不幸そうな鮟鱇が吊るされた印象を言う。
豆腐・葱・白菜等と煮ながら食べるちり鍋。冬が食べ頃で内臓が特に美味。
(鮟鱇・冬)
食通でもあった井月さん、鮟鱇鍋をつつきながら、口癖の「千両!千両!」と言っている姿が眼に浮かびます。
盲亀浮木は、遡回その142の巻末にも登場しました。
2015年11月28日 四徳の山奥に 【井月さんのこころ142】
鷹鳴くや満願の身にありがたき 青巒
盲亀浮木にこの身千両 朴翆
今週の結びは、愚良子先生のこの句です。
「春日愚良子句集」から
鮟鱇をつつきし鍋は鉄の鍋 愚良子
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