2014.01.04 [ 歴史・祭・暮らし ]
初日に祈るように【井月さんのこころ42】
井月さんのこころ シリーズ その42
あけましておめでとうございます。
一昨年7月にスタートしました「い~な上伊那」のアクセス件数は、昨年9月7日に十万件を超え、間もなく十五万件に達しようとしております。読者の皆さんに感謝申し上げます。
輝かしい一年になりますよう御祈念申し上げます。
さて、井月さんも初日を眺めて詠んでいます。
空色も花と染めなす初日かな 井月
以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
元日の日が昇ると空は花と染まって美しく、よい新年を迎えた。
旧暦では新年即春なのだ。昔は正月や村の神社の祭、お盆などが非常に楽しく待ち遠しく感じた。その時ばかりは白米のご飯、酒ご馳走を食べ、人と語り合い、休暇も取れた。それだけにお正月を特殊の日として準備怠りなく儀式も厳粛に行なう。今は年中お祭みたいなもの。
(初日・新年)
注連飾りです。
子供の頃の家には玄関から鍵の手に続く土間があって、勝手口に出られるようになっていました。
その土間の鍵の手の角には、土に埋められた平らな石が置いてあり、藁仕事で稲藁を叩くために使っていた記憶があります。
「新年の準備怠りなく厳粛に」ということで、藁で注連縄(しめなわ)や「おやす」を編みますが、これらを編む時には「叩いてはならない。」と教わりました。また、注連縄は普段農作業に使う右縄とは反対で左縄に編みます。といっても、農作業に縄やスゲを編むことはほとんどなくなり、最近では専ら左縄ばかり編んでいるような気がします。
神棚、台所(竈神様)、玄関、蔵、物置、同姓祝殿(稲荷様)と何箇所も注連を張って、新しい年が平安であることを祈ります。
今年は、1月4日(今朝)には門松集めに回り、その夕方に地区の子どもたちが「どんど焼き」の予定であるとのこと。
例年は、七草(七日)まで神棚などの内飾りは、そのままでありましたが、今年は三が日だけの飾りとなります。
井月さんが詠んだ正月の句をもうひとつ。
妻持ちしことも有りしを着衣始(きそはじめ) 井月
以下、この句の評釈についても、竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
着衣始は江戸時代、正月三が日中の吉日に新しい衣服を着始めること。それにつけても井月はひとりごつ。わたしにもあのような家庭的な楽しい生活があったのだがと。井月の伊那へ来る以前の前半生は殆ど分からないが、これによると妻を持ったこともあるという。「旅客」の題があり、世捨て人、放浪の俳人の思いがけない感慨である。この句、講談社『日本大歳時記』に載る。
(着衣始・新年)
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