2015.01.24 [ 歴史・祭・暮らし ]
大寒の頃 【井月さんのこころ98】
井月さんのこころ シリーズ その98
しあわせ信州移動知事室が始まる前日の12日(月・成人の日)、JR飯田線活性化期成同盟会(会長:白鳥孝伊那市長)の主催による「JR飯田線活性化シンポジウム」がいなっせで開催されました。
基調講演の講師は、房総半島を走るローカル線「いすみ鉄道」の経営立直しの公募社長に就任して活躍されている鳥塚亮氏でした。
「立直しの方針は一つだけ。今までのやり方はやらないこと。」「カネをかけずに勝負。」と、ムーミン列車を走らせて『かわいい電車の旅』(OZmagazine)などに掲載してもらって知名度を上げ、「女性が来れば男は付いて来る!」と。そして、ファン作りのアイデアのかずかず………
ムーミンキャラクター名前付きの8両を使って、8枠のスタンプラリーカードを用意し、各車両内にスタンプを置いて、一日6両のみを運行すれば、「スタンプを押すために別の日にリピーターが呼び込める。」と。キャッチコピーは、「ここには『何もない』があります。」
昭和40年前後製造の「キハ52」ディーゼル車両の導入、ジャケットで買わせる千円の「キハカレー」、5千円+消費税の枕木オーナー制度、懐かしい「輪っか」交換、フォークソング列車、ジャズ列車、刺盛レストラン列車、車内結婚式などなど、アイデア豊かに、次から次へと、その楽しく解かり易い熱血講演が、強く印象に残りました。
第2部は、昨年4月から伊那市集落支援員に委嘱され、移住・定住コーディネーターとして活動されている水口航さんをコーディネーターに、パネリストに伊那西高校美術クラブの有賀睦さん、サークルひまわりのたねの宮坂和恵さん、信州ふるさと案内人の赤羽明人さん、飯田市観光協会の高橋充さんの4名で、鳥塚亮氏をアドバイザーに「JR飯田線と伊那谷の未来を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
「自分たちが出来ること、身近な取組み活動の積み重ねが大切である。」という認識が共有されるとともに、高齢者や障害者などに優しい公共心を育んで「飯田線文化」を創るようにというアドバイスもいただくなど、有意義なシンポジウムになりました。
しあわせ信州移動知事室の最終日17日(土)に、阿部知事を迎えて開催された「い~な上伊那 地域づくりフォーラム」は、170名もの大勢の方々にご参加いただき、地域づくりの熱意が共鳴しあい、こちらも移動知事室の最後を飾るに相応しいすばらしい内容の大会になりました。
開会挨拶:地域づくりネットワーク上伊那支部長 小林正明氏 と 阿部守一長野県知事
この刺激を共有し合い、横の繋がりを更に強めていけば、上伊那地域をもっともっと元気にできるものと確信します。
パネリスト:平賀裕子氏(伊那まち再生やるじゃん会)、藤澤千恵氏(辰野町消防団)、
橋本浩基氏(箕輪町地域おこし協力隊)、酒井祐司氏(飯島町米俵マラソン実行委員会)
「人口減少社会を迎えて、これまでの右肩上がりの時代の『専門化・分業化』では新しいものは生まれない。その逆の『統合化(?)』とでもいうか『新しいキーワード』を共有して『地域の目玉』となる戦略を練ろう。」と、阿部知事。
阿部知事が、今回の「しあわせ信州移動知事室」において、様々な場面で使用した『輸入置換』という言葉は、経済学者ジェイン・ジェイコブズが説いた概念だそうですが、「これまで輸入していた製品を地場技術により自前生産に切り替えることが経済発展の原動力になる。」という趣旨のようです。
「小水力発電」などによる自然エネルギーの普及や「製造業ご当地お土産プロジェクト」などで、地域のポテンシャルや横のつながりを活かしながら地域にお金が回っていく仕組みを作ることが、上伊那地域共通の地方創生の総合戦略になるものと考えます。『半農半医』や『半林半観』などで過疎集落の維持・再生に取り組んでおられる長谷・高遠地域の皆さんとの囲炉裏端での対話も実りの多いものであったと思います。
新たなキーワードは、『多様+統合化』若しくは『多様化・汎業化』あたりが適当ではないかと思いますが、如何でしょうか。
いずれにせよ、今回の移動知事室は、阿部知事がたくさんの方々と対話し、現場に足を運んで皮膚感覚で、地方創生のヒントを探された一週間でもあったのではないかと思いました。
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