2013.07.23 [ 食・農・旅 ]
歴史のロマンあふれる地域での酒造り~小野酒造~
魅力発掘探検隊の樋熊です
上伊那地域には多くの酒蔵があります。以前このブログでも中川村にある米澤酒造さんをご紹介しましたが、今回は辰野町小野にある小野酒造さんをご紹介します。
写真上は小野酒造外観
写真下は直売している店内の様子
歴史が感じられるたたずまいです
辰野町小野地区は旧中山道、三州街道の宿場町で、歴史ある街並みを今も残す情緒豊かな地域です。また、現在小野地区は辰野町、塩尻市両市町に分かれていますが、古くは枕草子にも取り上げられ、現在二つに分かれている由来も天正19年(1591年、今から400年以上昔!)豊臣秀吉がこの地区をめぐる所領争いを仲裁し、この地区を二つに分けたことによるなど歴史のロマンにもあふれた地域です。
そんな場所にある小野酒造さんは元治元年(1864年)創業の酒蔵で、来年で創業150周年を迎える歴史のある酒蔵です。
今回は現在6代目となられる社長の小野さんにお話を伺いました。
写真上は社長の小野さん
写真下2枚はお話を伺った応接等のための建物の様子
写真下の建物は味噌蔵を改築したものとのこと。中のテーブル等は槽(酒造りでお酒の元となるもろみをしぼるための物)など酒造りに使われるものを再利用して作られたものとのことで、とても趣がありました。
小野酒造さんでは主に「頼母鶴」と「夜明け前」という銘柄のお酒を造られています。
頼母鶴は、現在2つの市と町に分かれている小野地区の古くからの呼び名である「たのめの里」から名づけられたお酒で、ラベルの名前は地元の画家の方に揮毫していただいたものとのこと。一字一字が飛び立つ鶴をかたどっているそうです。
また、夜明け前は島崎藤村生誕100周年を記念して昭和48年に生まれたお酒で、藤村の御子息、島崎楠男さんに許可を得て、そのラベルの文字も揮毫してもらったものであるとのことでした。
なぜ、藤村生誕100周年の「夜明け前」という酒を辰野町で?
と思われる方もいるかと思われますが、藤村の「夜明け前」の主人公、青山半蔵のモデルとなった藤村の父、島崎正樹が小野地区の文化人・知識人たちと交流があり、たびたび小野に訪れていたという縁から作られることとなったということでした。
写真は「夜明け前」
お土産で買わせていただきましたが、すっきりとしたとてもおいしいお酒でした。
お酒に使われるお米は主に長野県産の美山錦と兵庫県産の山田錦を使い、それぞれに合ったお酒を醸造されています。
また、最近では、同じ上伊那地域の南箕輪村の農家の方と協力して山田錦を作り、そのお米によってお酒を造ったり、同じ小野地区の営農組合と協力して、小野地区で生産された美山錦と水で作った「憑の華(たのめのはな)」というお酒も作られるなど、地元の農家の方と協力したお酒造りも行われているとのことでした。
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
上伊那地域振興局 総務管理課
TEL:0265-76-6800
FAX:0265-76-6804