い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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稔り間近の秋に 【井月さんのこころ76】

井月さんのこころ シリーズ その76

 9月に入りました。

 この8月は、偏西風が日本列島の西で南へ蛇行する「西谷」を形成し、多雨で日照時間が短い夏をもたらしたようです。長野県内の8月の日照時間は、「辰野」など9地点で観測史上最少(平年の5割以下)を記録したとのことです。

 雨ばかり降っていて、薪ストーブ用の焚き木が伐れないでいましたが、週末の晴れ間に、昨年の台風18号で倒れた唐松を伐って運び出しました。長さ140cmにして、鳶口で転がり出して軽トラックへ積んで持ち帰り、35cmに玉切って納屋の屋根下に積み込みました。写真左の本数を運び出しても、まだ右写真の根元がちょうど10m残っています。

間伐03 間伐02

 根こそぎ倒れた唐松は根鉢が2mを超える大物です。写真の根鉢の左にある栗材の長さが2mです。長さ36cmのチェーンソーでは、根元の玉切りがギリギリ限界でした。間伐01

 暦は、立春から数えて210日目、今年は9月1日が「二百十日」でした。

 井月さんは、こう詠みます。

  翌(あす)しらぬ日和を二百十日かな  井月

  「二百十日」は、台風の襲来により米の出来が左右される要注意日とされていました。

 現在の稲作では、温室育苗によって早く田植ができるので、9月に入れば稲穂は出揃って穂首を垂れる時期ですが、井月さんの時代には、まだ稲の花が咲き始めた頃だったのでしょう。

 江戸後期の俳諧歳時記である『改正月令博物筌(かいせいげつれいはくぶつせん)』(鳥飼洞斎撰、文化5年(1808年)刊)の七月部 時令「二百十日」には次のように書かれています。

 立春より二百十日めをいふなり。今日の風を恐それ二百十日ハ早稲(わせ)の花ざかり二百廿日ハ中稲(なかて)二百卅日ハ晩稲(おくて)の花盛り……(後略)。

 そんな時令に、井月さんが詠んでいます。

  駒ヶ根に日和定めて稲の花  井月

 この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、

  伊那ではどこからも西駒ケ岳が望見される。西駒から雨が来る。今日はその駒の峰が晴れて、安定した天気。稲の交配が進んで豊かな実りに。

 台風は、立春から二一〇日目、九月一日ころ襲来と昔から恐れられた。今は出穂が早いが昔はそのころが稲の花の時期で警戒を要した。二百二十日も厄日。

 この句の碑が一九八七年中沢蔵沢寺にできた。

  (稲の花・秋)

 駒ヶ根市中沢の曹洞宗広善山蔵澤寺(こうぜんざんぞうたくじ)は、遡回その72に登場しました。

 打ち水する頃【井月さんのこころ72】

https://blog.nagano-ken.jp/kamiina/life/5326.html

  さて、長野県地域発元気づくり支援金を活用していただいて、先週末に開催されました「第2回千両千両井月さんまつり」は、大勢の参加者で賑わいました。

 29日(金)午後2時から、シンポジウム「井月と放浪の俳人たち」が、いなっせ5F伊那市生涯学習センターで開催されました。

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