2019.12.12 [ その他飯田合庁だより南信州の観光・自然・花南信州の伝統・文化・史跡 ]
下農高生に農業用水路の現場を案内しました!
農地整備課です。めっきり寒くなりましたね。気がつくともう年末。
12月5日、6日に下伊那農業高等学校アグリサービス科3年生の「水循環」の授業の一環として、地域の農業用水路をご案内しました。先日エスバードで実施した「信州棚田ネットワーク オータムセミナー」で展示販売を行っていただいたことが縁で、今回の企画となりました。
まず、最初に南信州地域振興局からごあいさつ。
バスで移動し、竜西一貫水路の天竜川サイフォン工事現場に到着です。
ここでは、天竜川を横断する水路トンネルの工事現場を見学します。竜西一貫水路は取水後、すぐ天竜川の河床下を横断します。その横断暗渠が河床が低下することなどにより、露出し危険な状況のため、さらに深い位置に水路トンネルを掘っています。
いままさに最新のシールドマシン(掘削機)にて掘られている状況や、工事の進み具合をスマホで監視していることなど、施工者の㈱熊谷組の方から説明をいただきました。ちなみに、この工事は国の直轄工事です。
はじめて見る土木工事現場に、生徒たちも興味津々。対応していただいた方も笑顔です。
続いて、訪れたのは、高森町の円筒分水工。円筒分水工は珍しいもので、全国に200数十カ所しか確認されていません。そのうち県内には上伊那地域を中心に数十カ所あります。
上伊那地域には35カ所あって、日本最大規模の西天竜幹線水路円筒分水群と言われています。
南信州地域にも、この竜西一貫水路に2カ所設置されています。
ここでは、模型を用いて、水の流れを説明。原理を口で説明するのは、私には難しいため、模型で水の流れを見ていただきよかったです。生徒さんにも興味を持っていただいたと思います。
さて、2日目は、下伊那農業高校の学校田の用水源となっている、伊賀良井の頭首工にやってきました。ここでは、伊賀良井が大井川と呼ばれ地域に親しまれている様子や、農業用水だけでなく小水力発電にも利用されていることを、井守の清水三雄様から説明いただきました。
農業用水、伊賀良井に設置されている小水力発電所は、伊賀良井水利組合と飯田市内のモーターメーカー(株)マルヒが連携し設置したもので、その売電益の一部を水利組合に還元する仕組みとなっています。
この水路には、遡ること1000年の歴史があることを、みなさんご存じでしたか?
戦国時代から江戸時代にかけて、飯田城、松尾城、鈴岡城への御用水としても利用されていて、当地域の発展に大きく関わりのある水路であるとのこと。
最後は竜西一貫水路にもどり、気賀沢水路橋で締めくくりです。この水路橋は、松尾城址と鈴岡城址の間を東西に流れる気賀沢を横断するもの。戦国時代、この二つの城には松尾小笠原氏と鈴岡小笠原氏が居を構え、互いに激しい戦いを繰り広げた歴史があります。
小笠原家は、鎌倉時代には飯田市伊賀良周辺にあった荘園を治めていた信濃守護の要職にあったため、飯田には縁があり、その後、戦国乱世と江戸時代を生き抜いた数少ない大名です。
松尾城や鈴岡城にも伊賀良井が御用水として利用されていたことなど、歴史を知り、伊賀良井を覚えていただければ嬉しいです。
二日間お付き合いいただいた、下伊那農業高等学校のアグリサービス科のみなさん、ありがとうございました。
・竜西一貫水路位置:竜西一貫水路位置図
・伊賀良井位置:伊賀良井位置図
・国営竜西地区土地改良事業の概要
http://www.maff.go.jp/kanto/nouson/sekkei/kokuei/nishikan/ryuusai/keikaku_gaiyou/index.html
・円筒分水ドットコム:https://entoubunsui.com/
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